きれいごとでいこう!

経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。いい会社のいい話から私的なつぶやきまで、公私をつづります。

菓匠shimizu の夢ケーキ ~夢はなくてもいい~


こんにちは。
経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。


長野県伊那市 「菓匠shimizu」

清水慎一パティシェの セミナーが都内であり、

参加してきました。http://www.kasho-shimizu.com/
主催は、中馬企画さんです。http://sachikoc2009.ti-da.net/


「うちは菓子屋じゃないんです」と清水シェフ。


つまり、お菓子は手段であって、

自分たちは心や感動を届けることが目的なんだ

ということです。



毎日、テレビに映る悲しいニュースを

何気なく見ていた清水シェフ。


ある日 、思いました。

「もし、事件の数日前、

数分前に家族でおいしいケーキを食べて

夢を 語り合えていたら、

こんな事件は起こらなかったんじゃないか」と。


そして、考えました。

夢を形にできないかーー。

 

思いついたのが「夢ケーキ」です。


子どもたちに好きなケーキの

デザイン(夢)を書いてもらい、

忠実にケーキとして再現するのです。


スタッフのみなさんは

朝や夜の時間を使って、

すべての応募デザインの ケーキをつくります。

その数、300個! 

それが増えて昨年は600個!

しかも無料です。

情熱以外の何物でもありません。


スタッフの1人は語ります。

「300分の1のケーキではなく、

1分の1のケーキだと思って作ります。

真剣勝負。1つ1つに子どもたちの夢があるんです」

 


イベント当日は、

ショーケースにさまざまなケーキが並び、

次々と子どもたちが自分のケーキを取りにやってきます。


自分の絵がケーキになった!

という喜びでいっぱいの子どもたちの笑顔。


夢は形にできるんだよ、

ということをケーキに託して

伝えるスタッフの笑顔。

笑顔でいっぱいのお店です。


清水シェフが

「平成のサンタクロース」と呼ばれるゆえんです。

 


さらに、印象を強くしたのは、

夢を押しつけない、ということです。


夢が持ちにくくなっているこの世の中、

「夢を持たなければいけない」 ということが、

強迫観念になっているような現実があると思うんです。


かくいう私も、

「夢は大きく持とう」、「夢はあったほうが絶対いい」

と 思っていましたし、人にもそう言っていました。

夢を公言していました。


でも最近は、そうとも限らないなと考えています。


「夢」というと、

「宇宙飛行士になる」とか、「世界一の○○になる」とか、

「仕事で○○をつかむ」とか、

すごいねと言われる事柄しか

当てはまらない ようなイメージがありますよね。

大きいほど褒められたりします。


でも、

夢って必ずしも

大きくなくていいんじゃないでしょうか。
もっと言えば、

別に持っていなくたっていいんじゃないか。


「夢」を掲げる菓匠shimizuで働くスタッフも、

「いまは見つからない」という人が何人もいるそうです。

この事実、かえって私は安心するんです。


そういうスタッフは、

「毎日お客さまからありがとうと言ってもらえることが夢」、

「前向きな言葉を使い続けることが夢」

「○○さんの夢を手伝うことが私の夢」、

「夢を見つけることが夢」 と、

自分にできることを夢にしています。


清水シェフはこうした夢を、

「素晴らしい夢だし、こういうことが一番基本です」

とおっしゃいます。


一般的には、

それは「夢」というより

「目標」なのかもしれません。

 

でも、ここに挙げられた夢は、

「宇宙飛行士になること」に劣らず、

人として大切な夢なんじゃないか、

とも思うのです。

 


旅館の取材などで地方に行くと、

車窓の向こうに、

海で魚を捕っていたり、

田んぼでお米を作っている人を

見ることがあります。

 


仮にこの人たちに夢はなく、

ただ、「いい魚を捕る」、

「おいしいお米をつくる」

ことだけを考えているとすると、

それはそれで素晴らしいことだって思うんです。


スーパーでお米や魚を

楽に買っている私は恥ずかしい気分にさえなる。


大きな夢を持つことは素敵だけど

与えられたことを、

心を込めてやっていれば、

それで十分じゃないかと。

 


素直に一生懸命やっていれば、

いつの間にか、

「夢」のほうが寄ってくるんじゃないか

と思っているんです。



これまで私はいつも、

割と大きめの夢があって、

多くを叶えてきましたが、

いまは、公言するような夢は特にありません。


与えられた仕事が期待を超えたものになるように、

一生懸命やるだけです。

周りの人たちの幸せを心から願うだけです。


でもそんな気持ちになれると、

逆にいまが一番、吸収できているような気がして、

不思議なものだなって思います。


それによって、

夢が叶えられたのは周りの人の お陰だなと、

心の底から感謝することもできました。


夢は別になくても大丈夫だし、

焦ることはないし、

無理に持つこともない。


夢がなくても素敵な人は素敵です。


遊びも仕事も一生懸命にすることで十分、輝きます。


もしあなたが夢を見つける途中でも、

私が夢を休んでいても、

だからって魅力がそがれることはないって、

今そんな風に思っているんです。

ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子でした♪




 『女将さんのこころ その三』旅館の女将さん55人の人生哲学。
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