こんにちは。
経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。
あるホテルの記者会見＆記者懇親会に行ってきました。
地道な努力を続けている人気のホテルです。
何十人もの記者に食事を提供する懇親会は、
時節柄、激減しているので、
「今日は豪勢ですね」と、
顔なじみの記者の方たちと美味しくいただきました。
でもちょっと気になることが……、
出された料理は、
種類も量もたっぷりあって、
デザートをいただく頃になっても、
まだまだ半分以上、
こんなに残っているんです ↓
恐る恐る、近くにいたスタッフさんに聞きました。
「この残った料理、どうなるんですか？」
ウエーターはちょっとためらって、
言いました。
「…捨てます」
「え？全部ですか？」
「はい全部です。
一つ残らず、ごみ箱に捨てられます」
まったく手付かずのホールケーキも、
小鉢に分けられた、
きれいなお料理も、すべて。
スタッフが残りものを食べるのは
ホテルの規則で禁止されています。
それを許してしまうと、
じゃあビールも…という感じになって、
歯止めが効かなくなってしまうからです。
他のホテルもそうだと思います。
（味見は最初にさせてもらえるそうです）
お客さまが宴会料理を持ち帰ることは、
保健所から禁止とされています。
多種類大量の料理を出す宴会は、
仕込み時間がかかるため、
出来立て料理ばかりではありません。
数時間経っているものもあります。
また、不特定多数の人が
料理に群がるという特性もあります。
そのため、衛生・安全面の観点から、
宴会料理の持ち帰りはダメなのです。
じゃあ、残らないように、
ギリギリの量を出せばよいかというとーー、
そういうわけにはいかないのです。
もてなす側の心理として、
料理が空っぽになるのは恰好悪いし、
来てくれた方に対して
申し訳ないと思ってしまいます。
なので、人数より多めに出す
ことのほうが多いそうです。
今回のようにホテル主催のときも、
会社や団体などの宴会のときも
主催者はだいたい
同じ心理状態だと言います。
ホテルのランクや客層にも寄ると思いますが、
高級になればなるほど、
空っぽを嫌がるだろうと予測できます。
また、もてなされる側の心理としても、
宴会料理がほぼ空っぽになると、
ケチだなと思ってしまうところがあります
…よね？
普通のお食事だとそうは思わなくても、
「宴会料理」になると、
「もったいない」精神が
マヒしてしまうところがあると思います。
ということで、
宴会を行なうホテルや旅館、レストランでは
毎日、毎日、大量の残飯が出るのです。
お金を払って処理してもらっています。
そのウエーターさんは言っていました。
「ゴミバケツの量を見たら…、
驚かれますよ。
私は少し慣れましたが、
新人が入ってくると、
まずこれに大きなショックを受けます。
仕方ないんですけどね…」
シェフが腕を振るった美味しいお料理。
作った人はどんな思いなんだろう。
食材はどんな思いだろう。
すべての食材は命あるもの。
たくさん残って、
捨てられる運命のお料理を
ぐるりと一周して眺め、
なんとも切ない、
申し訳ない、
かわいそうな気持になりました。
責任の一端は、
もてなされた側の私にもあるわけです。
今度、どこかの宴会で
料理が空っぽだったら、
「な～んだ」なんて思わずに、
「ああよかった」と思おう。
せめて、
そう考えられただけでも収穫としよう。
そして自分の冷蔵庫の
中身だけは絶対に無駄にしないように
これからは「本気で」気をつけよう。
日本の年間食糧廃棄量は、
一般家庭から１１００万トン。
食糧関連事業者も１１００万トン。。。
その事実が目の前に迫ってきた昨日の夜は、
なんだか大変なショック療法を受けました。
懇親会の帰りに
地下鉄の通路を歩いていたら、
なんという皮肉。
こんな広告が微笑みかけてきました。
「FOOD IS HOPE」
「一杯の学校給食が、
途上国の子どもたちの希望です」
複雑な気持ちで帰途についた
経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子でした。
経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子でした。
