こんにちは。
経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。
先週の京都では、
漆(うるし)を通して
持続可能なものづくりのあり方や
人と自然の共生を考える、2022.11.8~9の2日間のツアー
「サスティナブル・ビジネス・リーダーシップ・ジャーニー」
に参加しました。
ツアー企画は、今年11月11日に10周年を迎えられた
一般社団法人リリース。
コーディネートは「工藝の森」を運営する
一般社団法人パースペクティブです。
両社とも京都を本拠地に活動されています。
主催者も参加者も、集う方々がみなさん素敵で、
とても豊かな2日間でした。
※3回にわけてご紹介します。
①塗師・西村圭功さんの工房
②漆精製・堤卓也さんの工房
③工藝の森を歩く
~ ~ ~
一日目はまず、塗師の西村圭功さんの工房へ。
職人であり、アーティストでもいらっしゃいます。
塗りの前工程である木地づくりは、
塗師ではなく、木地師の仕事です。
完成したデザインから逆算してつくられる木地は、
こんなに薄いんですよ(下の写真右)。
そこに、美しく強く、漆が塗られていきます。
塗師と木地師。その職人技に驚きました。
一般の工場では、
完全分業制からセル生産に変更したり、
直販したりする場合がありますが、伝統工藝は分業が基本。
漆ならば、
・漆を植える人(山主)
・植えられた漆を買って樹液を採取し、
採取後に切り倒す人(漆搔き職人)
・樹液を精製する人(漆屋)
・器などの木地を作る人(木地師)
・漆を塗る人(塗師・蒔絵師)
・売る人
みな異なります。
それぞれが専門技術を提供し合い、
尊重し合って、漆工芸が誕生します。
一方、物理的にも離れている分業体制ゆえに、
個々の部分的な弱点は見えにくいかもしれません。
今回伺った塗師の西村さんは、
本来は自分の専門ではない木地師の激減に気づき、
腕利きのベテラン木地師さんと連携しながら
若い木地師さんの修行の場も提供されていました。
工芸も一般の組織も、
それぞれの職場・立ち位置を尊重しながら、
互いに弱みを補い、強みへと変えていくような
連携は不可欠だなあと、改めて思いました。
塗師・西村さんの工房で木地づくりをしていた木地師さん。
もうすぐ独立されるそうです。
私たちが西村さんの話を聞いている間に、
みるみる木地が薄くなっていきます。1つ1時間くらいかかるとのこと。
西村さんのお話をうかがいます。未完成の木地と完成した木地。
西村さんの塗りを拝見。
刷毛の命名にくすっ。「チョイ塗りくん」
これは私たち素人が使う用の人工刷毛です。
西村さんのような職人さんは、
人間の髪で出来た本物の漆刷毛を使われますが、
刷毛づくりの職人さんも激減しているようなのです。
最後に、見学の私たちも塗り体験をさせていただき、
感触や匂いやその場の空気を、思い出に閉じ込めました。
漆はこってりと重みがあり、意思を持っているかのよう。
超貴重なものなので、
慎重に、ありがたく、塗っていきます。
~ ~ ~
リリースさんとパースペクティブさんによる当ツアーでは、
見学前にオリエンテーションがあり、
ウェルカムドリンクならぬ
「ウェルカムお吸い物」を提供いただきました。
漆のお椀のぬくもりと、
手間を惜しまずウェルカムしてくれる人のぬくもり。
すてきな歓迎をありがとうございます。
~ ~ ~
塗師の西村圭功さんの工房の後、
漆精製・堤卓也さんの工房へ向かいました。
こちらに続きます!😊