こんにちは。
経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。
昨日は京都出張でした。
午前中は、京仏具「小堀」の取材
http://kobori.co.jp/
午後は亀岡でＣＳ／ＥＳセミナーがありました。
「小堀」は以前、都内で小堀進 専務のご講演を拝聴し、
素晴らしいお話だったものですから、
そのときから取材の機会をうかがっていました。
小堀専務のご講演時のブログはこちら。
お仏壇って、よくよく近くで見ると美しいですね。
写真のような豪華な最高級品もあれば（なんと5300万円）、
お手頃で、扉を閉じると収納棚に見えるシンプルなものもありました。
「日常生活の中で、手を合わせる文化を育みたい」
というのは同社の願いです。
お寺向け、個人向けと、さまざまな仏具づくりや修復をされ、
悲しみを癒す仕事に誇りを持たれる姿勢に共感しました。
工房にて。こんなに小さなカンナが。
私は職人の孫なので、こういうのトキメキます。
材料と道具と技術と心。４位一体。
漆（うるし）が塗られた表面に金箔を貼り付けていきます。
漆はペンキと違って、湿度が高いほど乾きが早いそうです。
なので、体温が高く、
肌が潤っている子どもたちが見学に来ると、
一気に乾いてしまうとのこと。
中高年が見学に来てもあまり問題ないそうです
（笑）
ひとつ、エピソードをご紹介しましょう。
小堀進専務は昔、一つの失敗から大きな財産を得られたそうです。
あるお寺から二体が対になった仏像の修復を依頼されたときのこと。
こともあろうに、うち一体が盗難に合ってしまうのです。
あってはならないことでした。
ここで、ふと考えが浮かびます。
像を修復する仕事なのだから、
一体を新しく作って「直りました」と言えば、
盗難を隠し通せると。
しかし、この考えを知った当時の社長（父）は激高します。
絶対にそのようなことはいけない。
正直に謝るしかないはずだと。
小堀氏は深く反省し、
勇気を持ってお寺のご住職に謝罪しました。
するとご住職はおっしゃったそうです。
「よく正直に言ってくれました」
まさに、仏さまのようだった、
と小堀さんは振り返られます。
正直に伝えたことで、
お寺との信頼関係はより強くなり、
現在も続き、
自分も後ろめたさを胸に秘めて生きずに済み、
社員を共犯者にすることなく、
彼らの誇りも傷つけずに済んだ、と。
とてもいいお話。
このような素晴らしいお話をたくさんうかがい、
思いの詰まったパワーポイント資料をいただいて
取材を終えました。
～ ～ ～
が、ここから事件が起こるのです。
次の講演のため、亀岡へ向かう車内で、
私は息をのみました。
京都駅に、いただいた書類を
置き忘れたことに気づいたのです。
車内マナーとか言っていられません。
すぐに駅の落とし物センターに電話をかけますが、、、
ありません。
探しに戻る時間もありません。
どうしよう…。
人様の貴重なパワーポイント資料を置き忘れるなんて!
でも、取材内容は頭に十分残っているので、
紛失したことを黙って、記事を書くことはできるのです。
どうする、私。
そこへ、なんというタイミング。
小堀専務から別件でお電話が。
用件が済んだ後、
私は気づいたら謝っていました。
ごめんなさい…。
資料をなくしました。
すると、小堀さんはおっしゃいました。
「いつもお配りしているものですから、
なくされても大丈夫ですよ。
それよりも、瀬戸川さんのメモがなくなって
大変じゃありませんか」
私にとっては、
小堀さんの言葉があのご住職のようでした。
ごまかさず、正直に打ち明けてよかった――。
資料は改めてご郵送くださることとなりました。
（メモは別にとっておいたので大丈夫でした）
でも、しっかりしろ、瀬戸川礼子。
次はないと思え。
こういう人様の好意は奇跡だと思え。
そして思いました。
優しい人は、とことん優しい。
今回もまた、それを実感させていただきました。
小堀さん、心からありがとうございます。
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