こんにちは。
経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。
前回、漆の塗師・西村圭功さんに続いて(ブログはこちら)
今日は、京都の 堤淺吉漆店
4代目・堤 卓也さんの工房とお話をご紹介します。
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堤淺吉漆店・堤卓也さんの工房は、漆を精製されています。
店名の「堤 淺吉」は、
創業者であるおじいさまの名前。
明治42(1909)年から113年の歴史を歩んでこられました。
樽に入った精製前の漆を見せてくれる4代目の堤卓也さん。
堤淺吉漆店HPの通販ページより(こちら)
同店の既製品はいろいろバリエーションがありますが、
プロの使い手のリクエストに沿って、
色合いや堅さ、水分量と乾き具合まで、
オーダーメイドで細やかに精製できるのが同店の腕。
アナログだけど科学的でもあるのです。
前回ご紹介した塗師の西村さんは、
堤さんの精製がお気に入りで
毎回オーダーされているとのことでした。
漆の色見本。お寺や神社には青や緑や黄色も塗られていますよね。
漆の色や乾き具合などを伝えるための判子。面白い。
漆工芸も、多くの伝統工芸と同様、危機だそうです。
今から80年前の昭和16年くらいまでは、
国産の漆生産量は30トンありました。
ところが、人件費の高騰や利用頻度の減少など、
さまざまな理由から、2019年は1.8トンに。
現在では、中国産を輸入して
いわば助けてもらっている状態だそうです。
現在、国内の漆消費量は約37トン。
構成比は、国産5%、中国産95%です。
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強い危機感を抱く堤さんは、
新たな取り組みを始められました。
自身の趣味であるサーフボードに漆を塗ったり、
自転車やスケートボードにも漆を。
これがかっこいいんです。
漆のサーフボードを使っていると、
たくさんのサーファーに声を掛けられるとのこと。
漆に馴染みがなくても、惹かれるんですね。
こうしたことを一つのきっかけに、
若い世代に「漆」「URUSHI」の魅力を伝え、
未来につなげられたら、と語られました。
そしてまた、
子どもたちをはじめ、広く漆の魅力を伝えようと、
というプロジェクトも始められました。
漆という生き物と、携わる人々が刻んでいく物語。
これからどのような起伏を描いていかれるでしょうか。
堤卓也さん。工房1Fのショールームにて
ありがとうございます!
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このツアーは、
一般社団法人リリース
一般社団法人パースペクティブ
京都を本拠地に活動される両社が連携したもの。
私は事前にリリースさんから聞いていた
「時間の価値」を考えることに興味を持って
参加したのですが、確かに思う所がありましたし、
工芸を通して、組織の運営も考える機会にもなりました。
次回は、2日目に訪ねた京北の「工藝の森」をご紹介します!😊