きれいごとでいこう!

経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。いい会社のいい話から私的なつぶやきまで、公私をつづります。

経営者の「腹落ち」の必要性 

こんにちは。
中小企業診断士で経営ジャーナリストの瀬戸川礼子です。


今日は『中小企業白書2022』より
「経営者の『腹落ち』の必要性」を取り上げます。

 

『中小企業白書2022』こちら
昔と全然違う、民間っぽい表紙になりました。

政府刊行物なので、
本を買わなくてもこちらで全文読めます。 

 

さて、
「経営者の『腹落ち』の必要性」についてです。
腹落ち=納得のことですよね。

いろいろな問題があると分かっていて、
改善したいと思ってはいても、
納得しないと人は動けないものです。

これは経営者ばかりではなく、
誰だってそういう面があります。

でも、経営者は影響力が一番大きいので、
自分は変わらずに社員だけ変えようとしたり、
外部環境のせいにすれば、何も改善されません。
それどころか会社が傾いてしまうことがあります。

だから、経営改善や成長するためには
経営者の腹落ちが必要だというわけです。

同白書の中で、
ハーバード大学のリーダーシップ研究者
R・ハイフェッツの主張が取り上げられています。


経営改善や成長に向けた取り組みは、

◇既存の解決策が応用できる
技術的課題(Technical Problems)」ではなく、

◇既存の解決策がなく
当事者のマインドセット(価値観)自体を変える必要がある
適応を要する課題(Adaptive Challenges)」
そのものである。

 

技術的課題とは
・問題の定義が明確で
・解決策が分かっていて
・知識や技術を使えば解決できて
・専門知識や技術を持つ人が解決できて
・問題は自分の外側にある
といったものです。

適当を要する課題とは
・問題の定義がはっきりせず
・解決策が分かってなくて
既存の思考と行動を変える必要があり
関連する人々との探求と学習が必要
当事者も問題の一部である
といったものです。

 

この「当事者も問題の一部である」
腹落ちしたとき、改善と成長が始まるわけです。

ただ、
「当事者である経営者が十分に
 腹落ちしていなければ、
 その考えや行動を変えることはできない」
のは当然のことです。

 

『中小企業白書2022』では、

経営者が十分に腹落ちするためのものとして、
中小企業診断士などの支援者は、
融資や補助金を得るための支援にとどまらず、
「対話と傾聴」を通じて経営の総点検をし、
経営課題が解決されない真因について
経営者が気づくように導くことが重要、
といったことが書かれています。

なぜなら、
経営課題が解決されない真因は
多くは経営者自身が関与していることだからと。

 

~   ~   ~

 

で、これを読んで私は思ったのです。
白書では経営者が当事者になっていますが、
人間個人でも全く同じだな、と。

「当事者意識を持つ」とよく言われますが、
「私が問題そのものである」と思えたとき
人生は好転していく、という事例を
私は30年間の取材で山ほど聞いてきました。
また私自身も、その経験があります。

 

~  ~  ~

 

さらに、白書にはこう書かれています。

「経営者が独力で腹落ちに至ることは容易ではない。
多くの中小企業、小規模事業者に見られる、
自己変革を妨げる典型的な障壁の中には、
経営者が自社の課題に「向き合わない」姿勢が
問題となっているケースも少なくない。

例えば、過去の成功体験などが「認知バイアス」となり、
経営者が現実に向き合えなくなっている例も少なくない。

第三者である支援者から課題設定プロセスへの支援を受けながら、
課題解決に向けた取組に腹落ちしていくのが通例である。

また、腹落ちに至った後のフォローも支援者が行うことで
自己変革力」の会得までしっかりとした道筋が描かれたことになる。

 

これまた経営者に限らず、一人の人間としても
「独力で腹落ちに至ることは容易ではない」
と言えそうです。

私の知り合いには、
心理的なコーチを付けている人がいたり、
信頼できる講師による内省のセミナーに通う人、
内省の本をさまざま読む人、
一人で瞑想を続ける人、
いろいろなことにトライされています。

私も読書や瞑想は続けています。
これは言い方を変えると
「私が問題そのものである」
腹落ちさせる時間
になっているのかもしれません。

 

久し振りに目にした『中小企業白書』が
深かったので、自分の考えと共にシェアしてみました!

 

中小企業診断士・経営ジャーナリストの瀬戸川礼子でした。

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