きれいごとでいこう!

経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。いい会社のいい話から私的なつぶやきまで、公私をつづります。

今日は居酒屋、明日はスーパー。違う会社を行き来する世界が?

 

「会社勤めは、どこか一社でのみ」。
この概念が、これからゆるやかに
変化していくかもしれません。



今日は居酒屋で料理を運び、
明日はスーパーマーケットで野菜を売る。
そんな働き方が珍しくなくなる、かも。



日本では、居酒屋で知られるワタミが、
スーパーマーケット「ロピア」(48店舗)に
人財を出向させる「出向基本契約」を締結。
ワタミは多くが休業中で、ロピアは人手が足りない。
双方にとってメリットがあるわけですね。



食品宅配の出前館およびライドオンエクスプレスは、
一時的に、休業中の飲食店のスタッフを受け入れる方針です。



中国のアリババは、グループ内のスーパーを通して、
休業の飲食店スタッフを一時的に受け入れると。



ドイツの小売り会社アルディは、
米国マクドナルドのスタッフを一時的に受け入れ。

 

上の4つは「一時的」ではあるけれど、
この一時的がいろいろなところで行われれば、
「一般的」になっていくわけです。



もっと前から、「社員シェアリングサービス」をうたう
「トナシバ」という仕組みも民間にあります。
トナシバは、ホワイトカラーの色が濃いです。
「隣の芝生は青い」が語源のユニークな名前で、
ある会社に在籍しながら、
副業として他社でも働くとか、転職のお試しとか、
ほかの会社でも働けるシステムなのです。



以前、取材した「陣屋」という神奈川の旅館は、
旅館向けのコンピュータシステムを独自開発しており、
このシステム「陣屋コネクト」を他旅館に販売しています。
そして、陣屋コネクトを利用する旅館同士が
困ったときに助け合えるよう、
料理人や料理や仲居さんをシェアする仕組みを設けました。



あと、医師の世界では、曜日ごとに診療する病院が
違うことは珍しくないですよね。



会社勤めはどこか一社でしか出来ない。
そんな固定概念はだんだん古くなっていくかもしれません。
一社でもいいし、二社でもいい、そんな感じ。



もともと、提携先に1年間とか2年間出向くという
言葉通り「出向」という形はありましたが、
その間は主に一社だけ、に顔を出すことになりますし、
限られた例でしたし、それは「会社の命令」でした。

 

また、毎日別の場所で稼ぐ、日雇い労働も昔からありますが
今回紹介しているのはちょっと違う在り方です。



「シェア」の世界は、命令や選択肢のなさではなく、
「アイデアの提供」であり、「本人の希望」である面が
強い気がします。そして「複数を横断」できます。



私なんぞは、2000年に独立してから20年以上、
取材や講演や研修やコンサルの立場として、
そもそも仕事が一つに絞られていないのと、
いろいろな会社で「こんにちは」と「さようなら」
を繰り返しているので、一社だけという感覚が
もはや、なくなっています。



ただ、社員としての帰属意識はなくても、
どの会社も縁がある大切な存在なんです。
ほかの会社でも働くようになったら仕事をさぼるとか
仕事のレベルが落ちるとか、
そういう心配はいらないんじゃないかな。
いろいろな環境が知れて学べるメリットも多く、
この状態が大事だから、維持とか向上できるよう
しっかりやろうと思えます。



まあ、これから世界が変わるといっても、
そうそう社会の仕組みは激変しないでしょう。
政府は激変についていけないみたい(笑)。



今回の話でいえば、人財の勤怠管理をどうするとか、
実務レベルで面倒なことがありそうですし。
(勤怠管理という発想自体が古くなるんだろうな)。
けれど、おいおいに「お勤めはどちら?」と聞いたら、
「A社とB社です」「AとBとたまにCです」
なんて答えが返って来て、それにも別に驚かない、
という世の中になっていくのかもしれません。
わからんけど。




ずっと前からそうだった。でも、もう、
別にそれを守らなくても良くない?というものが
崩れていき、もっとみんなが幸せになれる方法に
向かっていく。その前段階がちょっと見えてくる。
コロナの好影響じゃないかと思っています。

 

いろいろな会社を覗けるって楽しい
ジャーナリストの瀬戸川礼子でした。



【おまけ】
2020年5月7日はフラワームーンでした。
花の咲く5月の満月のことを、
北アメリカの先住民はフラワームーンと呼ぶそうです。
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