きれいごとでいこう!

経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。いい会社のいい話から私的なつぶやきまで、公私をつづります。

どんなときも上機嫌なHさんの話

 

2008年に起きたリーマンショックを受けて、

私たち中小企業診断士は、

セーフティネット認定の窓口業務を行いました。

 

私はある大きな市役所に半年間通いました。
この仕事では、たくさんの学びがありました。

また、初めての仕事だったので、
新しい出会いもありました。

その中のお一人、
尊敬するHさんのお話をしたいと思います。

 

30歳くらい年上の大先輩ですが、

なんだかウマが合い、

お昼をご一緒させていただいたり、

膨大な知識の中から特に必要な情報を

分かりやすく教えてくださったり、

ご家族の楽しい話を聞かせてくださったり、

お互いの仕事の話をしたり、

とても良くしていただきました。

 

相当な仕事のキャリアをお持ちで、

定年退職後も仕事を続けられ、

現在も中小企業診断士として

活躍されていらっしゃるのですが、

何と言っても素晴らしいのはその人柄です。

 

たとえば、Hさんが息子よりも若い行政の職員に

ちょっとした注意(アドバイス)を受けた際、

Hさんはこう返事をしていました。

 

「ああそうですね。そのほうがいいですね。

 これは勉強になりました。

 教えていただいてありがとうございます」

 

いつもの穏やかな調子で、

顔もにこにこしているんです。

Hさん、ただものではないです。

 

 

仕事の役割と年齢とは関係がないとはいえ、

普通、自分よりずっと若い人から

仕事のことで注意されたら、

これほど素直にありがとうって

言えないのではないでしょうか。

しかも言葉遣いは、いつでも誰に対しても敬語です。

 

 

職員の方も、

年上の方がこんな風に受け止めてくれたら気持ちがいいし、

次はもっといいことを教えてあげようと

親切心がかき立てられるだろうし、

Hさんももっといいことを吸収できるし、

それを聞く周りの人も気分がいいし、

いいことが連鎖していきます。

 

 

お昼を食べに、

Hさんと外を歩いていたときには

こんなことがありました。

乳母車を押して突進してきた女性がいて、

Hさんとぶつかりそうになりました。

昼時だから、道にはたくさんの人がいます。

女性の行動はちょっと非常識に映りました。

あやまる様子もありません。

 

ところがHさんは、

これっぽっちも嫌な顔をせず、

それどころか、

「おっとっと」と

ちょっとふざけた仕草で両手をふわっと広げ、

乳母車の中の赤ちゃんと、

お母さんである女性ににこっと微笑んだのです。

 

まるで映画のシーンのように、

いまもスローモーションで思い出されます。

あと30歳私が年を取っていたら、

ほの字になっているところでした

 

 

また、こんな話も聞かせてくれました。

Hさんが、いつも行くお店で

牛乳とアンパンを買ったところ、

レジの女性に「張り込みですか?」

と聞かれたのだそうです。

「そういう面白いこと言ってくれると、

うれしくなっちゃうね」と笑うHさん。

 

 

レジの女性のユーモアに感心するHさんでしたが
(それもありますね)、

Hさんはどこでも温和で、

きっとレジの女性にも「いつもありがとう」などと、

優しい言葉をかけているのに違いありません。

だから、レジの方も心を開いて

冗談を言えたのではないかなと思います。

 

Hさんを尊敬する理由の一つは、

このように、どんなときも上機嫌であることです。

 

機嫌の良さを、

表情や言葉や声質でちゃんと表してくれます。

本人は機嫌がよくても、

表してくれないと他人には分からないから、

「機嫌がいい」ということを

分かりやすく見せてあげることが

きっと大事なんですね。

 

年を取れば取るほど、

若い人にはない貫禄がついてしまうから、

「近づいてきても大丈夫だよ」

ということを自分からアピールして、

Hさんのように、

とっつきやすい人でいられるよう気を配りたいです。

 

 

Hさんは例えるなら、上機嫌の柱がとても太いのです。

太いので、他人の目につきます。

太いので、多少のことではびくともしません。

太いので、倒れてくる心配がないうえ、

寄りかかっても良さそうな気がして、

周りの人が安心して寄ってきます。

太いので、(きっと)家の中でも同じです。

一人きりのときも同じでしょう。

素晴らしいなあと、いつも見ていました。

 

 

Hさんのようにいつも機嫌が良い人を私も目指しています。

 

ここがウイークポイントだったと思うんですよね。

自分を手なづけるのは一筋縄にはいきませんが、

Hさんのような方に出会えて、

お近づきになれているのだから、

どんどん感化されているはずです。

人生、根拠のない自信も大事よね

 

すてきなHさんありがとうございます。

 

経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子でした。

 

<瀬戸川礼子の本(抜粋)>
 
『顧客満足の失敗学』倒産企業の学ぶ5つの要素 
「顧客満足」の失敗学 社員満足がCSを実現する! - 瀬戸川 礼子