きれいごとでいこう!

経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。いい会社のいい話から私的なつぶやきまで、公私をつづります。

一燈園で答えのない答えを見つめる @ホワイト経営合宿 関西2016


【一燈園で答えのない答えを見つめる】

ホワイト経営合宿 関西で訪ねた「一燈園」(いっとうえん)は、
日本一小さな私立学校「燈影学園」(幼稚園・小学校・中学校・高校)
を併設する共同生活の場です。
「人間力」を大切に育てている場として高い関心がありました。

礼堂で、学園長の相大二郎先生を囲んで記念撮影

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“争いのない生活”を目指した西田天香さんによって、
明治37年、京都・山科に創設された一燈園。 http://www.ittoen.or.jp/ 
コルベ神父やヘレン・ケラーも来園されています。


その在り方や空気感は宗教を彷彿とさせますが、
宗教ではないので、入信したり、特定の何かを拝むことはありません。


現在、ここで生活されている方は百数十人いますが、
総勢106人の生徒は、全員が外部から通っています。
ただ、伝統的な日課は守られていて、
例えば毎朝、山裾の礼堂で正座し「朝のおつとめ」を行ないます。

朝のおつとめ風景

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その一つは5~10分の瞑想。
目をつむらなくても構わないし、テーマもありません。
自由に自分の心を見つめるのです。


また、「一事実」と名付けた1000文字ほどにまとめられた
天香さんの想いも毎日、音読します。

「(略)僧にあらず俗にあらず、
無限の福田ありてしかも同時に一労働者なり。
生活の為に働かず、
光明に養われし故に報恩の働きありとも見ゆ(略)」

結構、難しいですが、子供たちはみな全文をそらんじていました。
全文はこちら:https://www.ittoen.or.jp/ittoen_pray/ichijijitsu/

小学生の授業(たぶん1年生)。元気でかわいらしかった♡

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高校2年生の修学旅行も特徴的です。「行願」といい、
行先はディスニーランドやユニバーサルスタジオではなく、
見知らぬ個人宅です。
真冬の一月、作務衣と素足に草履、
手にはトタンのバケツを持って、
トイレ掃除をさせてくださいとお願いするのです。


インターフォン越しに断られ、玄関先で冷たい対応をされ、
心が折れそうになる生徒たち。
中には、最後まで受け入れてもらえない人もいますが、
怖さ、寒さ、恥ずかしさ、辛さ、喜び、安堵…。
言葉にならない体験をしていきます。

. 学園長の相(あい)大二郎先生は、
「これは単なるトイレ掃除ではなく、
答えのない答えを自分で感じる修行、
自分を発見する修行です」
と言われました。


ダスキン社の研修として「行願」に行く方々を 拍手ではなく、
手を合わせて心静かにお見送りする生徒たち。

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実は、
今回のコーディネーターでホワイト大賞委員の西川敬一さんは
一燈園生まれの一燈園育ち。
何度も行願を経験されてきたご本人に話をうかがいました。

習慣になっているトイレ掃除には抵抗はなかったけれど
「作務衣にバケツを持って外を歩くのが、
思春期の自分にはたまらなく恥ずかしかった」そうです。
その気持ち、なんだかわかる気がします。
この格好で飛行機に乗り、沖縄まで行ったこともあるそうです。


行願では、西川さんも何度も断られました。
現地では個々に行動するので、やらなくても別にばれません。
でも、良心が勝ります。


断られ続けると、自然といろいろ考えるようになるそうです。

「自分の言い方が悪いのかな、自分の気持ちが出てしまうのかな」


「とうとう家の中に入れてくれる人が現れると、
本当にうれしいんですよ。
泣きそうなくらいうれしくて、『よっしゃ!』と、めっちゃ一生懸命、磨く」


すると、そんな西川少年の姿を後ろから見ている人に変化が現れ
「その人の不信感が感謝に変わっていく」
のが分かるそうです。


こうした経験は後に社会に出たとき、
与えられた仕事を全力でやると面白くなっていくこと、
自分と相手がWin-Winでなければ関係は続かないことなど、
知らず知らずに生きてくると言われます。


いまの学校教育は「答えありき」だけれど、
「答えのない答えを自分で感じ、自分で考える力」
を子供のうちから身につけられたら、
人生の豊かさがずいぶん変わってくるのではないかと思いました。


でも、悲しいかな、大人は子供にはもう戻れません。
だから、今でもいい、出来る限り学んでいきます。
西川さん、大二郎先生、ありがとうございます。

経営ジャーナリストでホワイト企業大賞委員の瀬戸川礼子でした。

 
おかみ3巻の表紙-文字大.jpg