こんにちは。
経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。
執筆中の本の取材、まだやっています。
ぎりぎりまでやります。
今日は、タビオ社の越智直正会長に
電話インタビューさせていただきました。
ユーモアたっぷりのお話に何度も大笑いし、
そして懐の大きさに目が潤んだ、
すてきな時間でした。
靴下の専門店「靴下屋」、「tabio」
をご存じの方は多いと思います。
タビオ社(旧社名:ダン)は、
靴下の企画、製造、卸、小売、FC展開など
一貫した流通網を有する、
靴下の総合企業で上場企業です。
http://tabio.com/jp/
15歳で靴下づくりの丁稚奉公からスタートして54年。
創業者の越智(おち)さんは、
良質なものづくりにこだわり、
日本の靴下は世界一と言われるほどに
この業界を成長させた功労者です。
付属品としか思われていなかった靴下に
市民権を与えた人、とも言われます。
ちなみに私のクローゼットの靴下は
90%がタビオのもの。
女性ものだと中心価格帯は
1足600~800円です。
ちょっと高いけど質がよいのです。
じんと来るお話を数々お聞きしましたが
それは是非、発刊を待っていただく ことにして、
残念ながら本に書ききれなかったお話を
ご紹介したいと思います。
越智さんは、だみ声だけれど
明るく優しい声をしていらっしゃいます。
タビオ 越智直正会長の談話
<ヨン様と僕>
小さな違いが大きな評価になる。
その感覚を持つことが大事です。
たとえばヨン様と僕は、
二つの目、一つの鼻、一
つの口があるのは同じだし、
ついている場所は数ミリしか違わないでしょ。
でも同じだという人はいない。
細部にまでこだわって最高のものを作ることが
ものづくりには大事なんです。
<お客さんが神様になるとき>
お金を払ってものを買うときのお客さんは、
神様の域に達しています。
以前、製造が間に合わず、
いつもと違う工場でつくった靴下を
一緒に売りました。
同じ糸、同じ工法です。
私も社員も、まったく変わらない商品ができたと思った。
ところが、店へ反応を見に行ってびっくりしたんですよ。
たまたま中学生のお客さんがいたですが、
手に取った靴下はいつもの工場で
作ったものだけだった。
友達とわいわいお喋りしながらですよ。
なのに、手の感触だけでちゃんと選び抜くんです。
僕はね、それを目の当たりにしたとき、
怖いと思った。
そして、絶対にお客さんをなめたらあかんと思いました。
<銀行強盗>
3足1000円の靴下ね。
売っていますけど、主力にはしません。
ずっと前、これに集中すれば
もっと売れるという意見が社内に出ましたけど、
だったら自分は独立するって言ったんですよ。
自分でつくった会社だけど、
そこからさらに独立して
一人でいい靴下づくりをするんだと。
ゼニ儲けは一番じゃない。
ゼニをつかむんだったら、
銀行強盗でもやって 警察につかまって、
笑い者になるほうが、まだ自分らしいって言ったんです。
社員も分かってくれました。
<幸せを決めるのは>
人間関係を大事にしてくださいと、
いつもみんなに言うんです。
いくらゼニを持っていても
人は幸せにはなれません。
人間関係が人の幸せを決定するんです。
それが一番大事です。
~ ~ ~
いかがでしたか。
一つの道を究めた方の話は芯が通っていて、
何より愛があるんですよね。
ほかにもいいお話、うかがっています。
秋の発刊をぜひお待ちください。