八景の女将・浩子さんが女将になったのは
1980年代後半のことです。
事業家の父が倒産した旅館を買い、
この経営を懇願されたのがきっかけでした。
浩子さんは当初、旅館業が嫌でした。
しかし、10年経ったころ、転機が訪れます。
若いスタッフにこう言われたのです。
「浩子さんの旅館なのに
なんで私が営業せなあかんの。
自分が頑張ればええやん」。
ショックでした。
と同時に、「図星だ」と観念したのです。
素直な浩子さんは早速、自ら営業に出向きます。
「どうしたら評価が高くなりますか」。
営業先の旅行会社で質問しては、
宿に帰ってアイデアを実践しました。
浩子さんが描く宿の理想像は
「元気で上質な民宿」です。
父親が事業家だったこともあり、
幼少期から日本と外国の一流ホテルに
滞在する機会がありました。
そうした経験から、
「真の一流どころはフレンドリーで気位が高くない」
と、肌感覚で会得していたのです。
今回、スタッフに差別発言を何度もし、
理不尽なクレームを寄越した宿泊客に対し、
毅然と反論したルーツはここにあるのです。
~ ~ ~
念のため、書いておきますが
すべてのクレームが理不尽なわけはなく、
改善や気づきを与えてくれる
有り難いクレームも当然、存在します。
旅館や会社側も、本当に間違っていたり、
ミスをしたのなら、誠意を持って謝るべきです。
でも今回、八景さんに対するクレームは理不尽なものでした。
全国のサービス事業者は、理不尽なクレームには反論する、
そんな流れになってよいと思います。
お客さまは神さまじゃありません。
同じ人間です。
百歩譲って神さまだとしても、
神さまはサービスやおもてなしをする側を
苦しめるなんてしないはずです。
お客さまは神さまだと考えて滅私奉公するのは
神さまに失礼なのです。
見てくださいね~(^^)/
経営ジャーナリスト・中小企業診断士の
瀬戸川礼子でした。
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