<昨日のあらすじ>
紺色のニット、紺色のペンダント、紺色の時計をした女性客が、
バッグ売り場で 好みの紺色のバッグを手に取りました。
ところが、この女性客がはしごした3店のバッグ売場すべてで、
店員は「色違い」をアピールしてきました。
なぜ、彼らはニーズをくめなかったのでしょう。
<今日の結論>
答えはいろいろあると思いますが、
私は「想像力」(のなさ)だと考えました。
想像とは、「実際に経験していないことを推し量ること」(広辞苑)ですが、
宇宙や未来を想像するのは人の自由だとしても、
“相手の思いを想像する場合”は、一つ条件があるのではないでしょうか。
つまり―、
あなたはこのようですね、それなら私はこうしますね、と
“相手を先に考える” ということです。
私はこう思うから、あなたもそうでしょう、と
自分の気持ちを優先して相手の気持ちを考えるのは、
真の想像力とは言えないのではないか、ということです。
バッグ売場のケースでいえば、
「色違いがあるから、あなたもそれを見てみるといいですよ」は、
相手の気持ちにおかまいなしの、押し付けになってしまっています。
“相手の思いを想像する場合”の理想は、
相手の言動をちゃんと「見て」、
「あなたが気になるのはこれなんですね」と、
まず素直に受け入れることだと思ったのです。
(そしてもちろん「表現」することが大事)
相手の好みがいま一つでも、自分としてはまったく関心がなくても、
相手はこれが好きなんだなと、その気持ちを「想像」してあげる。
想像の出発点は自分ではなく相手、これが基本じゃないかなと思います。
相手と一心同体にはなれないけれど、努力するということですね。
実はこれに似た話を、講演の最後によくするのですが、
自分に起きたことを基に考えたら、改めて想像力の大切さに気付きました。
ここまで考えるとやはり気になるのは、
じゃあ自分はどこまでできているのかー、ですが、
バラツキがある…、気がしております。
ところで、3店舗の店員さんに想像力がないかというと、
絶対にあると思うのです。
あの場面では活かせなかったけれど、持っているはずです。
では、なぜ活かせなかったのか?
次回はこれを考えてみようと思います。