<前回までのあらすじ>
・想像力がないと、顧客の思いをくみ取ることは難しい。
・人の思いを想像する、という状況では1つの条件がある。
それは、相手の気持ちをスタートラインにすること。
・3人の販売員さんたちは想像力を持っていると思う。
ではなぜ、発揮できなかったのか?
<今日のコラム>
実は、あのときお客だった私の目から見ると、販売員さんたちは
3人とも少し疲れているように見えました。私はデパート好きで、
何も買わなくても売り場を見たりします。購入目的がはっきり
しているときは積極的に店員さんとお話しして楽しむほうです。
なのでバッグ売場でも会話をしましたが、
この時は店員さんのやる気や楽しさを感じることがありませんでした。
印象では、3人ともベテランさんではないようです。
モチベーションが低いから想像力も高まらなくて、マニュアルのような
お決まりのセリフになってしまったのかな、と内心思ったのでした。
本当はどうなのかはご本人たちに聞いてみなければ分かりませんが、
ここでは、私の感想を前提条件にして、
「なぜ販売員さんは想像力を役立てられなかったのか」、
を、考えてみたいと思います。
この問いには正確な答えがないので、まさに「想像」です。
1・かける言葉はほぼマニュアルで決められている。
2・販売員へのエンパワーメント(権限委譲)がなく、主体的になれない。
3・売っても売らなくても時給と評価は変わらないから情熱が持ちにくい。
4・とても疲れており、顧客に気を回すところまでいかない。
5・最近のお客はわがまま過ぎて、当たり障りのないことしか言えない。
6・バイトや派遣の立場だと、社員に遠慮してかえって積極的になりにくい。
7・周りに楽しんで働いている人がいないので、理想像が分かりにくい。
8・本当は何かジレンマがあって突破口を探しているが見つけ出せない。
9・いきなり現場に出されてどうすれば分からない。
10・いろいろな理由から心のゆとりが持てない。
想像しすぎかもしれないし、想像が足りないかもしれませんが、
かつて、留学資金を稼ぐためにデパートで販売の短期アルバイトを
2~3度したことがあり、そのとき見聞き・体験した話も入っています。
このアルバイトで一番印象に残っているのは何しろ疲れたこと。
仕事をしながら長期休暇を利用して働いたので、
期間はそれぞれ2週間くらいの短期間なのですが、
足の疲れが半端じゃなく、辛かったです。
狭い店舗、堅い床。立っている時間が長い長い。
毎回、1日目でへこたれて、辞めようと本気で思います。
たまに、お客さんと一緒に商品を選んで喜ばれると嬉しくて
その間だけは足の疲れも感じませんが、
とにかく販売は見た目よりずっとハードな仕事です。
ある程度、続ければ慣れるのかもしれませんが、それもすごい。
だからいまも、毎日立ちっぱなしで働く店員さんを尊敬します。
なおさら、楽しく仕事ができたらいいのになあと思いますし、
少ない経験から言うと、楽しくさせるヒントは自分の想像力でした。
答えのない話でしたが、こんな感じだろうかと想像することは
許容範囲が広がったり、いつか新しい気付きとつながっていく
のではないかという気がします。
バッグ売場にて (おわり)