きれいごとでいこう!

経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。いい会社のいい話から私的なつぶやきまで、公私をつづります。

明治神宮の杜を歩く ~150年先まで考えた人々~


こんにちは。経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。


先月 2023.6.24、植物好きの母娘で
「明治神宮の杜を歩く」という講座に参加しました。
主催は東京都公園協会で、
「緑の緑の水の市民カレッジ講座」の一環です。
こちらにいろいろ講座が掲載されています。

 

明治神宮の社務所に集合し、
神宮の林苑主幹による座学を受けた後、
杜(もり)の解説を受けながら歩く
計2時間の講座でした。

講座の前に、杜の中のレストランで腹ごしらえ。

 

参道には多くの外国人観光客が。日本酒の樽が珍しいみたいで、
記念写真をたくさんの人が撮っていました。

 

ハートの蔦

 

【森と杜のちがい】
森は、樹木が多く茂ったところ。
杜は、神社など神霊の寄り付く樹木が群がり立つところ。
「もり」という読み方も、樹木が多く群がる点も同じですが、
そこが神域かどうかで、森と杜とに分かれるようです。
けれど、自然な森も神域といえば神域ですから、
境目はふわっとしたものでいいんじゃないかと思います。

 

~  ~  ~


講座が始まりました。
明治神宮の杜は、いまでは自然の森のように感じますが、
明治天皇と昭憲皇太后をお祀りするために
人の手によって作られた人工の森です。

ここまでは知っていましたが、
杜になる前の写真に驚きました!

なんにもない… (講座のスライドより)

 

明治神宮の杜は、70haの広さがあります。
東京ドーム15個分です。

最初の植樹は大正5年(1916年)。
全国から10万本もの献木があり、
11万人もの青年団のボランティア奉仕がなされたそうです。

これは大規模な寄付であり、
100年前のクラウドファンディングともいえそうです。

 

その後、さらに植樹されて16.8万本になりましたが
成長と淘汰が行われていくので、
現在は、3.6万本です。

 

 

下記は明治神宮のHPより。びっくり。

 

その荒れ地がいまでは緑の森に(この写真は下記のYouTubeより)
杜がなければ、全部、ビルになっていたのでは?
そう思うと、本当に杜でよかった。ありがたいエリアです。

 

www.youtube.com

 

この地に、明治天皇と昭憲皇太后をお祀りする杜を創るため、
またその後、永遠に残る杜にするために、
壮大なプロジェクトが始まりました。

設計の立役者は三人。
日本初の林学博士で、日比谷公園など全国60以上の
公園植栽を設計した本多静六を中心に、
林学博士の上原敬二、
静六の助手で造園家の本郷高徳です。

 

座学で私がいちばん感動したのは、この絵です。


上から順に、1期、2期、3期、4期と、
杜の創設から最後(成熟が止まるとき)まで、
木々の移り変わりの順序が150年先まで
想像して描かれているのです。

1期は正三角形で表された松と、
細長い三角形の針葉樹林が多い。

それが4期になると、松も針葉樹林も激減し、
常緑広葉樹の森になります。

植樹から100年経った現在は4期。
森の最終形になっています。

明治神宮の杜をつくった人々はみな、
自分たちは見届けられない遥か先まで想像し、
実際に、その通りになっている。

すごい……。

 

講座スライドより。明治神宮の杜は「森厳」であるべきとし、
①②③の3点を基本の考え方とされてきました。

 

②の「なるべく人の手によって植栽や伐採は行わず、
永遠にその林相を維持できるもの」は、
人工的に作った森だけれど、あとは森の力に任せると。
落ち葉は掃きますが、必ず森にかえすそうです。

 

~  ~  ~

 

座学の後は、説明を受けながら杜を歩きます。

一人一人にインカムを貸してくれるので
離れていても説明がちゃんと聞こえます。

 

一人だけ、説明をちゃんとメモする人(←母)。えらい ^^

 

この写真ではわかりにくいんですが、背の高い常緑樹同士が、
枝葉が重ならないように、遠慮し合って伸びる様子を
「クラウン・シャイネス」(樹冠の遠慮)と言うそうです。
人間も「お互いさま」の精神でいれば、
うまくやっていけるのと同じかな。

 

 

所々で、ビニールが巻きつけられた木と、
ペットボトルの上の部分が下に向いて連なる装置が目に入ります。

これは、広葉樹に危害を与える
5mmの害虫・カシノナガキクイムシ対策です。

上の写真、右の装置は簡易なものですが、
昨年だけで、カシノナガキクイムシ 100万匹を
捕獲・退治したそうです。でも…氷山の一角なのかなあ…。


左のビニールの巻かれた木は、
害虫が幹の中に入らないよう守られているわけですが、
近寄ってみると、中が蒸れ蒸れで、暑そうでした。

林苑の方々は一生懸命、木々を守ろうと奮闘されています。
いろいろな実験をして、効果を試す必要もあります。
実際、広葉樹が害虫に倒れてしまったら、
この森はやがてなくなってしまいます。

でも、木々の幸せはどちらなんだろう。
人工的に守られるほうか、自然に委ねるほうか。
答えのない問いが生まれました。

 

奥の方は初めて歩きました。こんなところもあったとは知らなかった。
涼しくなったらまたゆっくり来よう。

 

こんなに緑豊かなところが、100年前は荒れ地だったとは。

 

一人ピクニックをしていた人。いい感じ。

 

本殿に戻ってきました。

 

 

土曜日だったので結婚式を3組も見ました。どうぞお幸せに.。*☆+.*.。☆゚+

 

左は松の木です。まだ立派に残っている松は珍しい、と。

 

明治神宮の杜は(資料によると)、

安らぎの場、鎮守の森、優れた景観、文化・精神

といった一般的に考えられる働きのみならず、

生物多様性の保全、経済的機能、木材資源、

バイオマス、公益的機能、水源涵養、土砂流出防止、

防潮・防風という意義もあるのでした。

 

 

100年前の大正時代に、

たくさんの人々が明治神宮の杜を生み育ててくれたお陰で、

令和時代の私たちも、大都会の中で自然を味わうことができます。

100年先、150年先のことまで考えて計画し、行動する。

それが未来の人々の幸せに着実につながっていることに

深い感銘を受けました。

 

ネイティブアメリカンの教えに、
「7世代先を考えよ」があります。
おおむね500年先……、そこまではとても想像できませんが、
自分がいなくなった先の未来に生きる人たちのことも考える。
その心意気は持っていたいと思います。

よい時間をありがとうございます。

 

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