きれいごとでいこう!

経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。いい会社のいい話から私的なつぶやきまで、公私をつづります。

整形外科で医院長に文句を言った話

 

ちょっと膝が気になって整形外科に通っています。

小さな医院です。先生の評判がいいと聞きました。

 

3回目の通院となる今日。

久しぶりに、それはあんまりよと、

悲しくなる光景を見てしまいました。

 

待合室。

前のほうの席に座っていると、

後ろのほうから赤い服の女性が歩いてきて、

受付カウンターに向かいました。

 

「……の様子で、……辛そうみたいで…、できれば早めに…」

ところどころ、声が聞こえてきます。

 

女性の目線を追って振り返ると、

一番後ろの席に、グレーの服を着て

ぐったりと座っている女性がいます。

 

赤い服の人は、たまたま隣に座っただけなのに、

心配して「少しでも早く」と、

わざわざ頼みに行ってあげていたのです。

 

優しい人だなと思って見ていましたが、

雲行きが怪しい。。。

4人のスタッフが4人とも、

能面のように無表情なのです。

 

 

そのうち一人が言いました。

 

「順番でお呼びしていますからー」

 

 

その瞬間、私は思わず、

グレーの女性のほうを振り向いていました。

彼女にも聞こえたはずです。

 

女性は、ふっと悲しい顔をしました。

 

そして、もう座っているのも辛いようで、

ソファ席に横になりました。

赤い服の女性が席に戻り、

「大丈夫?」と声をかけてあげていました。

 

受付の人たちはどうしていたかというと、

女性のそばに行くでもなく、

そのまま、何事もなかったかのように

淡々と仕事を続けました。

 

少しして、その女性の名前が呼ばれました。

 

「○○さーん」と呼ぶ役目の人は、

壁にもたれていました。

 

10歩も離れていない距離ですが、

横になった女性が、

ゆっくり起き上がるのを、ただ見ていました。

 

女性の症状はぎっくり腰みたいで、

命にかかわることではないですが、

だからといって、あの態度でよいことにはなりません。

ロボットではないのです。

 

 

なんなの、ここはーー。

ものすごく嫌な動悸がしました。

 

 

帰ろうかなと思ったのですが、留まりました。

医院長に言ってから帰ろう。

 

 

クレームってそうそう言わないんですけど、

言うときは直接、本人に言うのがいいと考えています。

そうしないと、告げ口したみたいで私も本人も嫌だから。

 

でも、受付の人たちに言っても

問題解決にならないという気がしました。

 

 

院長に診てもらった後、

思い切って伝えました。


ちょうど私が最後だったので、

次の患者さんを待たせる心配もありません。

 

さきほど見たことを、

出来る限り穏やかに話しました。

 

すると院長は私の話の途中で、

施術の話や、症状によって順番を変える

といった医療的な話を挟んできたので、

私は言いました。

 

いいえ、医療の話をしているんじゃないんです。

順番の話でもありません。

心の話をしているんです。

無表情で同情の一つもないなんて悲しいと、

言っているんです。

 

親や友達が、辛いと言って横になっているのを見たら、

見て見ぬふりはしないでしょう。

そういう話をしているんです。

 

生きるか死ぬかの瀬戸際なら

人間性より技術力かもしれませんが、

多くの患者は、

ただ技術を求めてくるんじゃないと思います。

安心したいんです。

ちょっとでも温かい気持ちになりたいんです。

でも、あの対応じゃなれません。

 

患者の私が、

先生にこんなことを言うのは、すごく勇気がいるんです。

でも、あの光景を見た以上、黙って帰れませんでした。

せっかく先生も評判があり、

みなさんも一生懸命働かれているのに、

なんだかもったいないと、勝手ながら思いました。

 

 

院長は理解してくれました。…たぶん。

 

私が思った通りで、

こういう話は今日が初めてではなく、

ときどき冷たい対応があるようなことを言っていました。

 

ああ、気づいているけど解決できていないのだな

と思いました。

 

でも、次がちょっと気になりました。

スタッフの性格や忙しさを理由に挙げてくるのです。

 

そこで私は言いました。

 

それも違うんじゃないでしょうか。

先生のせいだと思います。

施術や順番はもちろん大切ですけど、

優しさも大事だと本気で思っているなら、

分かってもらうのは先生の役目じゃないでしょうか。

一人ひとりは、心根は優しいと思います。

でも、仕事場に来ると忘れてしまう。

なぜ忘れてしまうのか。

先生はそこまで想いと行動をかけていないのではありませんか。

先生は経営者です。責任があります。

 

 

…まあ本当に、私だってたいしたことはないのにーー、と

凹みそうになりましたが、言ってしまいました。

 

あれでよかったのか。

自問自答の意味で、正直にブログに書いています。

 

 

先生は、

「自分ではそういう現場まで見られませんから、

教えていただいて参考になりました」

とおっしゃってくださいました。

 

さすが評判の先生。

日常的にみんなから持ち上げられる医師という立場で、

このひとことはなかなか言えない、と感じました。

 

医院を出る前に、先生にメモ紙で手紙を託しました。

ぶしつけなことを言ったことと、

言いっぱなしは無責任な気がしたので、

参考になると思うDVD「Do it!」の情報をお知らせしました。

 

川越胃腸病院と、

ヨリタ歯科クリニックと、

バグジーの巻は特に、

スタッフのみなさんで何度も

観たらいいんじゃないかなと考えました。

 

 

私は、言い過ぎた気もするし、

言わないのもずるかった気がします。

 

「正義」という言葉が

このところ大嫌いで避けていたのに、

あの行動は明らかに正義感がさせました。

 

お世話になったあの医院が輝かれますように。

私の言葉で傷ついていませんように。

 

先生、看護士さん、スタッフの方々、

みなさんに笑顔があふれますように。

そして患者さんに届きますように。

 

経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子でした。