こんにちは。
経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。
今日のタイトルはこちら。
「声には嘘が出るのよ」と女将さんは言った
都内在住の私は、たまにバスに乗ります。
外の景色が見えて楽しいので、
地下鉄より不便だけれど、バスを選ぶことがあります。
昨日がそうでした。
バスに乗ったら、一番後ろの席にまっしぐら。
一段高くなっているから車内の見晴らしも良くて
特等席なんです(感性が子ども!)
一番後ろの席は5人がけ。
一人は窓側に、私は中央に。計2人が座りました。
次の停留所で、女性3人組がやってきました。
5人座れる席だけど、ほかの席も空いているし、
密だなあと、ちょっと思う私。
でも、ここに座りたい気持ちは同じだし分かるので、
空間を空けるために、横にずれようとした瞬間、
「ずれていただけますか」
と、3人組の一人に言われました。
グループの仲間を思いやる親切な言葉だし、
私もそうしようと思っていたし、
実際、すぐにそうしたのですが、
だがしかし、この温和(?)な私が ( ´艸`)
珍しくむかついているのです(笑)。
で、こういう嫌な気分のときこそチャンスです。
「なぜ、私はこんな小さなことに むかついているんだろう」
自由研究ならぬ「自分研究」の始まりです。
研究過程は長くなるので割愛しますが、
結論は、このようになりました。
この人の嘘を感じたから、私はむかついた。
「ずれていただけますか」と
仲間のために頼む体(てい)だったけれど、
発せられたその言葉には、
「どいて」というエネルギーが満ちていた。
見かけは依頼だけれど、中身は命令だった。
命令を依頼で隠すという嘘を感じたから、
私はむかついた。
まあ実際、語尾が極端に上がっていて
きつい言い方だったんですけど
「言い方」を着地点にしてしまうと
言った人のせい、という浅い話で終わってしまいます。
そうじゃなくて、言い方の中身を観察することが大事で、
見えない中身が自分に与えた影響を考えると、
自分研究につながっていくと考えます。
~ ~ ~
そしてこのとき、
前に旅館の女将さん取材をした際に
聞いた言葉を思い出したのです。
「声には嘘が出るのよ」。
この方は声を使う達人で、
かつ女将として、数えきれない人々の
声と行動の 一致・不一致を
つぶさに見て来られた方なので
かなり説得力があって、覚えていました。
バスの中で自分研究をした私は、
ふむふむ、なるほどこのことかと思いました。
取材で理解していたつもりだったけど、
このように嫌な出来事が事例になると、
もっと深く理解できるようになります。
そして、自分研究のいいところは、
構造を理解するとむかつきが自然消滅し、
出来事を思い出しても
嫌な気持ちがほとんど戻ってこなくなることです。
暗い部屋に電気をつけたら
怖くなくなる現象と似ているかもしれません。
~ ~ ~
ほとんどの人は声を使います。
言っている内容と、
発しているエネルギーに齟齬(そご)がないか、
それを感じる状態でありたいし、
何より自分は一致しているか、
嘘をついていないか、
客観的な観察眼を持っておきたいなと思いました。
うん、やっぱりバスはいいなあ。
経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子でした。