こんにちは。
経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。
ホワイト経営合宿 in 北海道 2016では、
帯広の十勝バスをチャーターして回りました。
今日は、十勝バスさんのお話です。http://www.tokachibus.jp/
全国の路線バスのうち7割以上は赤字と言われますが、
私は実際はもっと多い気がしています。
地方出張先でバスに乗ると、ほぼ貸切だからです。
十勝バスもかつては赤字が常習化した会社でしたが、
社長の野村文吾さんが父の会社を継いでから
14年後の2012年、黒字化を達成しました。
それは業界の一大ニュースになりました。
地方路線バスが黒字化したのは、
全国で40年ぶりのことだったからです。
野村さんの講演で特に心に残った２つは、
「社員を愛そう」と野村さんが決心したプロセスと、
路線沿いの住宅を一軒一軒、訪ねたことです。
野村文吾さんと。
ある日、会社の愚痴ばかりを言う野村さんに、
帯広青年会議所の先輩である、
東陽製袋の長原覚さんは言いました。
「もっと社員を愛せよ」。
野村さんは
「何をドラマみたいなことを言っているんだ」と冷笑し、
「何をドラマみたいなことを言っているんだ」と冷笑し、
酔った勢いで言い返しました。
「土下座してくれたら、言うこと聞きますよ」。
すると、長原さんはためらいもなく、
その場で土下座をしてくれたといいます。
大きい会社の社長がなぜそこまで？
野村さんは慌てて長原さんを立たせてそれを聞くと、
長原さんは言いました。
「お前が心配なんだよ」。
「お前が心配なんだよ」。
私利私欲のない思いやりに触れ、野村さんは決心しました。
翌朝、社員の前で、
これからはみなさんを愛すと宣言。
毎朝出社すると全社員に挨拶し、
業務中は自分から社員に歩み寄って
一人一人の声に耳を傾けるなど、
身近なことから始めていきました。
リストラや給料カットが続いていた十勝バスは、
野村さんが出社すると、
運転手ら社員が拡声器で「出てけ！出てけ！」と
シュプレヒコールが起きるような有様でしたが、
やがてそれも静まりました。
ホワイト合宿の仲間と野村さんの講演を聞きました
路線沿いの住宅を一軒一軒、
訪問したことも印象的でした。
訪問したことも印象的でした。
気後れして行きたがらない社員たち。
率先したのは野村さんです。
率先したのは野村さんです。
ほとんどの住民は好意的で、
「乗らなくてごめんなさいね」と言ってくれる人もいました。
「乗らなくてごめんなさいね」と言ってくれる人もいました。
直接、話を聞くことで、目からうろこの事実も分かりました。
「乗り方が分からない」という人が大勢いたのです。
つまり、
・どこに停留所があるのか
・行き先はどこなのか、
・時刻表は？
・お金の払い方は？
・どこに停留所があるのか
・行き先はどこなのか、
・時刻表は？
・お金の払い方は？
いろいろ分からないことがあったのです。
確かに、バスってもろもろ分かりづらい。
乗り慣れていないと、バスはかなり不安な乗り物です。
十勝バスでは、一つ一つをわかりやすく案内するほか、
病院や買い物など「目的別の路線図」をつくるなどして
地道に活動していきました。
その結果、乗客数が増え、増収に転じていきました。
十勝バスの躍進は演劇にもなり、
これを観た地元高校生は「十勝が誇らしく思えた」と言いました。
野村さんは次のように語ります。
「私たちも誇りを取り戻しました。
これまで、社員に誇りを“持たせよう”としていたのは間違っていた。
誇りは人間なら誰でも“持っている”ものだからです。
ただ、長い間、忘れていた。
いま私たちはそれを取り戻したんです」
次の訪問先に行く我々を見送ってくれる十勝バスの野村さん
経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子でした。
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