きれいごとでいこう!

経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。いい会社のいい話から私的なつぶやきまで、公私をつづります。

「ベトナム人の採用・雇用」に関する理論研修を受けました

 

こんにちは。
経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。

 

2019.7.6
この日、中小企業診断士の理論研修で、
「ベトナム人の採用・雇用」に関する研修を受けてきました。

外国人が日本で働くには「就労可能な在留資格」が必要で、
その大きな一つが「技能実習制度」です。

 

条件がややこしいのですが、
これまでは最長5年在留できました。

最近は、さらに条件をクリアすると̟̟̟プラス5年延長できたり、

特定技能1号、2号、3号と分かれていまして、
年数のしばりが変わっていくらしい。
ここでは書ききれないのです。

 

外国人雇用としての「技能実習」が始まったのは1993年。

当時は、
日本の技術を伝えるという国際貢献の意義がありましたが
いつしか、日本の人手不足を補う
という意味合いが濃くなっていきました。

 

法務省発表(2018年末)の外国人在留者は多い順に、

①中国76万人(前年比対4.6%増)

②韓国45万人(0.2%減)

③ベトナム33万人(26.1%増)

④フィリピン27万人(4.1%増)

⑤ブラジル20万人(5.5%増)。

ベトナムは、人数こそ3番目ですが、増加率は26%と断トツです。

在留人数.jpg


ベトナムは社会主義共和国。

国土は日本の0.88倍で人口は 9,650万人。

平均年齢は31歳で、

日本の中央値45.9歳(世界一高い)より15歳若いです。

 

今回の研修講師は、中小企業診断士の西村亮氏。
実際にベトナムに暮らし、
人財採用などの仕事をされているので話がリアルでした。

同氏によると、
外国人採用の利点は確実に人数を得られること。
来るか来ないかもわからない日本人の応募を
じっと待っているよりも現実的だということです。

 

日本側のニーズが最も高いのは、建設工事の現場。
若い外国人男性の労働力を求めています。

ただし、建設に限らずどの現場にも言えることですが、
定着するかどうかは別の問題です。

なぜなら、職場の人間関係を含めた「環境」や
「実際の就労条件」によるからです。


食品加工会社を経営する私の友人は
最近、ベトナム人を数人雇用しましたし、
取材先の一般企業や日本旅館でも、
ベトナムの方の姿を見るようになりました。

こうした会社では人を大切にしていると感じます。

 

一方、先日、NHKの番組『ノーナレ』では、
今治のタオル工場でひどい扱いを受けていた
ベトナム人女性たちが映し出されました(幸い助け出されました)。

 

取材を拒否した経営者は、貧しいところから来たのだから、
安く過酷な条件でも働くだろうと考えたのでしょうか?

まったくとんでもないことです。同じ人間でしょうが。

 

人を採用したら、日本人でも外国人でも等しく

最低賃金以上を払うことが法律で定められているし、

日本人が嫌がることは、外国人も嫌に決まっています。

 

著しく増加しているベトナム人の場合、
近年は、家族を養うために貧しい地域から
出稼ぎに来る若者が増加していて、
親から「行ってくれ」と頼まれるケースも珍しくないとか。

 

日本以上に家族神話が強いみたいで、
その点はなんだか気の毒にも思えます。

 ベトナム人が母国に一時帰国する際は、旅費よりも、
家族や親類や近所へのお土産代のほうがかさむと聞きました。

 
~  ~  ~

さて、

技能実習生は、現地の送り出し機関(DOLAB)
および日本の監理団体(JITCO,OTIT)
を通って日本企業にやってきます。

企業と人が直接交渉することは事実上できません。
日本側は、雇用した人の旅費を支払い、
当然ですが、生活場所も用意します。

 

銀行口座を開く必要があるので、
あらかじめ印鑑を用意しておくと便利だそうです。

毎月の給与のほかに、
一人につき毎月3万5000円(一人当たり年間42万円)を
企業は監理団体に払うことになります。

監理団体は毎月1回、現場確認にやってきます。
「外国人技能実習生=安く雇用できる」ではないのです。


また、採用側と雇用側のギャップとしては、
採用側の日本人は、
「賢くて忠実でよく働く人」を望みますが、

日本人もそのような人ばかりではないように、
ベトナム人に過度な期待や押し付けたりするのは
よくないとのことでした。そりゃそうですね。

 

一方、

雇用されるベトナム人側は、
「助けてくれる先輩ベトナム人がいる」
(安心できる、日本語をそれほど覚えなくていいなど)、

「給料が高く、残業も多い」(残業してさらに稼ぎたい)、

「休暇など働く側の権利が主張できる」

などを望む人が多いそうです。
これもそうだろうなと思います。

 

現地事情に詳しい講師のリアルな話をいろいろお聞きし、
「大変だな…」という印象が残りましたが、

前述のように私が取材させてもらった日本企業では、
ベトナム人採用を継続して行い、とても良好という経営者もいます。

そういう経営者は、彼らの人生の幸せも共に考えられる人です。

 

受け入れ側の誠意や覚悟が反映される、と感じます。

採用の流れは、

①募集、②選考、③入管審査、④出発・受け入れ準備です。

 

興味のある方は、日本の監理団体(JITCOまたはOTIT)、
あるいは地域の労働局に問い合わせてみてください。
いろいろな日程で説明会が開かれています。

 

講師による現地情報のおまけ:

ベトナムは湿気の多い暑い国ですが、
だからとって服装にだらしないのはよくありません。
ベトナム人の採用免染のために来る日本人の中には
サンダルとTシャツ姿の人がいるらしく、
現地では不評だそうです。

相手は人生をかけて日本に行こうとしているのだから、
せめて襟付きのシャツで来てほしいと。
それはそうですよね。

 

詳しくはこちらをどうぞ

* JITCO(公益財団法人国際研修協力機構)https://www.jitco.or.jp/

* OTIO(外国人技能実習機構)https://www.otit.go.jp/

* 地域の労働局

企業取材のときには、聞くばかりではなく

こうした情報を提供して差し上げたいと思う

経営ジャーナリストで中小企業診断士の瀬戸川礼子でした。

 

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