2018.9.22
「武井塾」(天外塾長)の最終回でした。
メインテーマは「いかに権力・権限をなくすか」。
写真左から、天外さん、武井さん、嘉村さん。
武井浩三さんが社長を務めるダイヤモンドメディア社では、 http://www.diamondmedia.co.jp/
①あらゆる方向に情報が等しく行き渡り、
②権限を分散させ、
③計画は立てず(予測はする)起きたことに適応する という
「生命的な組織」を目指しています。
「それが、宇宙の流れに基づいた経営だと思うから」と。
ただ、上記①②③のうち、
①と③は会社の自由ですが、
②「権力・権限の分散」は、商法上、難しい。
なぜなら、株式会社の枠組みでは、
会社の所有者は株主ですよ、となっているからです。
株主が権力を持っているのは承知の事実ですからね。
そして、どのくらい株を持っているかによって
権限は変わりますが、
たとえば、3分の2以上を持っていれば、
定款を変えることもできるし、
取締役会を解散させたり、
どこかと合併しますとか、
会社解散とか、
好きにできちゃいます。
私が取材で出向いてきたいい会社は、
たとえオーナー経営者で100%株を保有していても
暴挙には出ない人間性を持たれているし、
武井さんもそうだと思います。
ですが、そうではない残念な会社は実際にあり
「所有者や経営者の人間次第というのはどうなの?」
と、武井さんは考えた。
そして、「構造マニア」を自称されるだけあって、
「権限や責任を一カ所に起因させない構造」
を、実際に自社でつくってしまいました。
2017年10月、ダイヤモンドメディア組織内に 「経営管理組合」が発足。
創業社長の武井さんは、
保有していた自社株82%のうち、
70%を組合に差し出します。
手元に残ったのは12%だけなので、
帳簿の閲覧や株主総会の招集くらいしか
権限がなくなりました。
しかも、もともと閲覧や招集は
会社としてオープンにやってきているから、
実質的に株主権限を手放したことになります。
これによって、
会社の筆頭株主が会社そのものになり (正確には会社の組合)、
構造自体が「みんなの会社」になったわけです。
これは、ものすごーく斬新なこと。
聞いたことがありません。
この、権限の分散の構造化は、
汎用性を持つかもしれない一方、
個人資産と会社資産が混ざった会社は難しいでしょうし、
情報の透明性を極限まで高めていないと危険でしょう。
けれど、権力を流動させる(固定させない)ほうが、
上司の顔ではなく、顧客の顔を見て働きやすいし、
権限ではなく話し合いで物事を決めていけるようになる
という武井さんの考えには、
多くの人が賛同されるのではないでしょうか。
こうした新しい在り方について、
講座のサポート役だった嘉村賢州さんは、
「予測と計画のパラダイム(従来のものの見方や考え方)
を手放すことが必要」と言っていました。
確かにそうですね。
ダイヤモンドメディアの
【経営管理組合の発足による株主権力の無効化】
詳しくは同社のHPをどうぞ。 https://www.diamondmedia.co.jp/dm-blog/archives/85
7,8,9月と、3回を通じた講座で
さまざまな発見がありました。ありがとうございます!
ジャーナリス・中小企業診断士で講師、
ときどき受講生の瀬戸川礼子でした。
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