きれいごとでいこう!

経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。いい会社のいい話から私的なつぶやきまで、公私をつづります。

おもてなしされるに値する人間になる


【おもてなしされるに値する人間になる】

「おもてなし」って、どちらかというと、
それをする側がクローズアップされる言葉ですが、


普段、する側の人にお会いしてお話を聞いていると、
「おもてなしされる側」の態度も
とっても大事だな~と思います。


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たとえば、レストランや旅館に、
黙~って入ってくる人がいるけれど、

「こんにちは」
「お世話になります」など、

目を見てちゃんとあいさつできる
お客さまのほうが好かれます。


あと、それなりの身だしなみで来てくれる人は、
だらしない服装の人よりも一目置かれます。


また、満面の笑みじゃなくてもいい。
表情にふんわりと微笑みをのせているお客さまには、
ちょっとしたポジティブな言葉をかけたくなるそうです。


「自分は客だぞ」という態度の人は嫌だけど、
「お邪魔します」というような謙虚な言動のお客さまは、
より丁寧に接しようと思ってもらえるし、


評論家の目線ではなく、
そこを楽しもうと思ってくれる好意的なお客さまには、
もっと何かして差し上げようという気になります。


その会社や地域のことを思って、
褒めながら、さりげなく、アドバイスをくれるお客さまは、
貴重なヒントをくれたことに感謝されます。


明らかなクレームのときに、
怒らず、怒鳴らず、
冷静だったり思いやりのある態度を
取るお客さまは尊敬されます。


不慣れな社員に対して、
人格否定することなく、
真心で注意してくれるお客さまは有り難がられます。


する側は、
こういう気持ちを露骨に「表す」ことはしないけれど、
そりゃ人間だから、「思う」わけです。
これは自然なことですよね。



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今春、『旬刊旅行新聞』で、
増田剛編集長が「加賀屋」の女将・小田真弓さんに
インタビューした記事を思い出しました。

「『最も来てほしいお客と、最も来てほしくないお客は?』
という答えづらい質問に対し、


 小田女将は、
『客室係を良い方向に指導して
いただけるお客様はウェルカムですが、
あまりに執拗なクレームなど、
社員が怯え、委縮してしまうような、
悪影響を与えるお客様は
来てほしくないお客様になるのかもしれない』

と語った。(中略)

『お客さまの満足度と、
社員が加賀屋に入ってよかったと感じられることが、
同じくらいの度合いで大切』と語った」


さすがは小田さんだなと感じ入りました。

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来る方も人間ならば、受け入れるほうも人間。
どちらにも同じように喜怒哀楽の感情があります。

一方通行ではなくて、
おもてなしするほうも、おもてなしされる、
おもてなしされるほうも、おもてなしする。

そんな双方向の関係があればこそ、
本当のおもてなしが成立するんじゃないかなって思います。


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2回目となった
経産省「おもてなし経営企業選」の選出企業は、
お客さまとの関係がよいのです。

一緒に育ったり、企業がお客さまを育てたりしています。
だからこそ、本来のおもてなしが成り立つのだと思います。


私は全国各地でおもてなしを受けることが多い分、
「おもてなしされるに値する人間になる」。
そう改めて言い聞かせる今日このごろです。


経産省おもてなし経営企業選考委員で
経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子でした。