ふと、中学生のある日にタイムスリップしました。
『アホは神の望み』(村上和雄著、サンマーク出版)
の影響のようです。
面白くて、読み直し中なのです。
村上氏は、高血圧の黒幕といわれる
酵素「レニン」の遺伝子解読に成功された 有名な博士ですが、
「人を救うのは笑いです」と科学者らしからぬ、
しかし、さすが科学者だけあって、
なるほどと納得できる話を書かれています。
いわく、
「インテリの悲観論よりアホの楽観論」のほうが、
「いい遺伝子」のスイッチをONにする。
この言葉を反芻していたら、
中学生時代に頭が戻っていたのでした。
ちなみに、本書でいう「アホ」とは、
どうしようもない人のことではなく、
大らかで、素直で、明るく優しい人のことです。
己(おのれ)の利益ばっかり考えている人を
「利己的」と言いますが、
本書でいう「アホ」とは、
他人の利益を優先する「利他的」な人です。
~ ~ ~
さて、タイムスリップしたのは、
中学のクラス全員で先生にいたずらを仕掛けた日でした。
なぜそんな計画が浮上したのかは忘れてしまいました。
教室の開き戸の上から水の入ったたらいを落とす―、
そんな、大それたものではありません。
「起立、礼、着席」の「着席」のときに、
ただ、クラスみんなが机を揺らしてギーギー騒音を出すという、
単純でカワイイものでした。
ターゲットは、2人の先生です。
ターゲット① 「ハンサム先生」(社会)
・いつも冗談を言って私たちを笑わせてくれる。
・身なりも顔もいい人気の先生。いまで言う「イケメン」
・本人もグッドルッキングを自覚。
→大学時代のヨーロッパ旅行で撮ったという
ブロマイドのような1枚を
教科書に挟んでいつも持ち歩いていた。
ターゲット② 「ボサボ先生」(理科)
・絶対に髪をとかしてない。
疑う余地のないボサボサ頭。
・破れた白衣と絶妙なマッチング。
・性格は穏やかで、心優しい先生。
・しかし、目がぎょろぎょろ動くので怖がられる。
・冗談らしきことを聞かせてくれるも、
風貌と朴訥(ぼくとつ)とした話し方で、
ぜんっぜん冗談に聞こえない。
↓ たとえば ↓
「あのね、いい?
この前の学会で発表されたんだけどね。
この地球は、宇宙人に支配されていることがわかった。
いつ攻撃されてもおかしくない状態なんだよ」
↓ 黒板に図解付きで説明 ↓
素直な中学生だった私たち。
みんな本気で信じてしまい、絶句。。。
↓ 先生のほうが驚く。
~ ~ ~
とにかく、私たち生徒は、
いたずらしても怒らなそうな2人を選出したわけです。
第一弾は、ボサボサ先生。
始業チャイムが鳴り終わり、
いよいよいたずら開始です。
「起立、礼」
そして「着席!」
“ギギギ! ギギギギギー!”
教室中に騒音が響き渡ります。
みんな、机を揺らしながらも、
先生の反応が気になって仕方ありません。
ボサボサ先生は、
しばらくきょとんとした後、
いつも以上に目をぎょろつかせ、
「わはははははははははは」
笑い出しました。
「わははははは」、「はっはっは」
ひとしきり笑った後、
安堵とうれしさでニヤケる私たちに、
「よく思いついたねえ!」
「いやあ、ボクも子どものころは先生をからかったりしたもんだよ」
「面白いよなあ」
「やられたなあ」
手放しでべた褒め(?)してくれたのです。
現金なもので、
私たちはボサボサ先生のことをかなり見直し、
かなり好きになり、
すっかり気を良くしました。
でも、これはまだ序の口。
次は、メインイベントのハンサム先生です。
ボサボサ先生があれだけ笑ってくれたのだから、
冗談好きのハンサム先生なら
どれほど面白がってくれることか。
私たちは休み時間にもう一度、決起集会を開き、
来たる時を待ちました。
再び始業ベルが鳴り、
廊下の向こうからハンサム先生が歩いてきました。
「きたぞ!」
ドキドキしながら全員が席に着きました。
「起立! 礼!」
そして 「着席!」
さあ、ハンサム先生の反応やいかに。
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経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子でした。