きれいごとでいこう!

経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。いい会社のいい話から私的なつぶやきまで、公私をつづります。

“西の雅 常盤”の女将劇場が見事過ぎた

 

こんにちは。
経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。



「恥ずかしいと思うことが恥ずかしい」

これは 先月、

インタビューさせていただいた女将さんの言葉です。

山口県・湯田温泉。「西の雅 常盤」(にしのみやび・ときわ)に

宮川高美さんという有名な女将さんがいらっしゃいます。

http://www.n-tokiwa.co.jp/


何度もお目にかかっているのですが、初

めて現地にうかがいました。

(女将サミットで踊る宮川さんを紹介した過去blogはこちら!) →https://reikosetogawa.seesaa.net/article/200807article_10.html

「西の雅 常盤」の目玉は、

毎晩8時45分から宴会場で開演される、

その名も 「女将劇場」



女将さんと約15人のスタッフが繰り広げる1時間は、

和太鼓、手品、踊り、水芸など

30以上の芸が次々と繰り広げられる、

まさしく「ショータイム」。

 

息つく暇もなくスピーディに展開される舞台は

観客を飽きさせません。

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中央が女将の宮川さん。

80歳(!)と85歳(!!)の2人の叔母も

踊りで観客を沸かせます。

 

出演者は全員、宿のスタッフで、

持ち芸は60以上もあるそうです。


女将劇場で特に印象的だったのは、

“笑い”にあふれていることでした。


200人近いお客さんをどっと笑わせるのは、

プロでも簡単ではないはずです。


この日のオープニングは、

地元を走るSL機関車の音をモチーフにしたSL太鼓。

女将さんと3人の男性(旅館スタッフの若者)が、

声を上げながら威勢良く太鼓を叩きます。

想像以上にうまい。

 


「これは!」、

「やるじゃない」、

「ここまでするの」

ドンドンという音とともに、

期待感が会場に膨らみ始めます。


1つ目のSL太鼓が終わり、

大きな拍手の中、

すかさず女将さんがマイクでひとこと。


「SL太鼓でございました。SMではございません」


腹の底から出すような「声」と「しゃべり」はプロ級。

会場がどっと沸きます。

綾小路きみまろさんの女将版を

イメージしていただきたいのでございます。

 


あまり書いてしまうと、

見るときに驚きがなくなってしまいますが、

あと少しだけ。


着物姿で踊りを披露するコーナーでは、

振り向いてニターッと笑うと、

口の中に電光が入れてあって、

歯がぎらぎら光ってる、

なんていう場面も。


この方、“旅館の女将さん”ですよ。
そのギャップがもう、

おかしいったらないんです。


幸せそうな笑みが絶えない方なので

聞いて驚きましたが、

大変な苦労をされてきた方です。


子ども時代、

家の中が借金取り立ての赤紙で真赤だったり、
経営を立て直すために朝晩は旅館、

昼は洗車場経営と寝ずに働いたり、


「オンボロ旅館(当時)でも喜んでもらいたい」

と毎晩、一つ一つの客室を回って
踊りを披露したり(女将劇場の原型)、


お婿さんとしてお見合いしたご主人には

「ジュウヤクにしてあげます」と言ったけれど、そ

れは運転手、フロント、案内、布団敷きなど

「十の役」があるという意味だったり。


いろいろな山を越えたうえでの笑顔だから、

見る人をより惹きつけるのでしょうか。


それに、4歳から何十年も

日本舞踊とお琴を習ってきた方ですから、

やみくもに崩すのとは違って、

「守・破・離」ができるのだろうなと思いました。

 


次々に落ちてくる水を浴びて、

目をしばたきながら

必死に水芸をする姿も

会場に大笑いを巻き起こしました。

もちろん芸はしっかりおさえています。


「くだらないことを一生懸命にやる。

こちらがひいてしまっては絶対にダメ」


そうなんです。


ご本人は、

一生懸命にやればやるほど面白い

ということを承知の上なのです。



女将劇場の会場は、

宴会場にひな壇と椅子を置いたシンプルなもので、

照明や音響も簡易です。

音が割れたりもします。

 

でも、ショーに込められた思いが熱いから、

観客は大満足。


「ありがとう」の声が、

客席のほうから飛んでいました。

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閉会後の会場にはまだ熱気が。

女将劇場は、宿泊客はもちろんのこと、

他館の利用客も、

道を歩いている人も、

誰でも無料で入れます。


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会場外には女将グッズのブースが

臨時開設されていました。

ストラップやタオルなど(各400円)をめがけて、

右から左から手が伸びます。

飛ぶように売れて行きます。


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ええ、私も買いました。↑


叩いて踊って飛んで潜って走って喋って。

全力で取り組むこの舞台を

毎晩こなしている女将さん。


人に喜んでもらうために捨て身になる。


「喜んでもらえることが一番うれしい。

変な人だと思われてもいいのよ」


髪を振り乱しながら

観客を笑わせようとする

女将さんの姿は美しかったです。



「恥ずかしいと思うことが恥ずかしい」


また一つ、心に留めたい言葉をいただきました。


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経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子でした。