きれいごとでいこう!

経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。いい会社のいい話から私的なつぶやきまで、公私をつづります。

「従業員」 やめませんか?

 

こんにちは。
経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。

CSとESの研究を、
大学院で1年間、集中的に行なってからというもの、
「従業員」という言葉にどうも抵抗を覚えるようになりました。



“服従させて仕事を行なわせる者” と読めてしまうのです。



CS(Customer Satisfaction=顧客満足)と無縁の会社は
この世に存在しませんが、
CSを維持・向上させる立役者は社員です。


たとえ、商品そのものの満足度が非常に高かったとしても、
それを考えて、作って、運んで、並べて、説明して、売って、
アフターサービスするのは人です。
これがサービス業なら、なおさら人の力が大きくなってきます。


人は感情のある生き物なので、
会社や仕事などに不満を抱きながら、
一方では顧客満足のために努力する、
ということはとても難しいし、
第一、心のバランスが取れず人間的な環境とはいえません。


CSのためには、
やはりES(Employee Satisfaction=社員満足)が不可欠であって、
すると「従業員」という言葉はCSを考える上で、
ひいてはCSが不可欠な経営を考える上で、
実にふさわしくない言い方になるのです。


なにしろ「従」がよろしくありません。
広辞苑によると―
・自分より強大なもの、不動・不変なものの権威や存在を認め、  自分の行動をそれに合わせる意。
・後について行く。随行する。
・さからわない。意のままになる。言いなりになる。
 命ぜられた通りに行動する。降参する。屈服する。 
といった意味です。


従業員を、この言葉通りにとらえている人は少ないと信じていますが、
とにかく、喜ばれない言い方ですよね。

頂点にエライ人が君臨する、
ピラミッド型組織そのままという感じ。
肩書き上の上下関係が存在すること自体に問題はありません。
ただ、「従」という言葉が下の立場の人に使われることによって、
人間的な上下が暗黙の了解になる気がして、これが嫌なんです。


実はいままで、原稿でも著書でも講演でも、
ほとんどのケースで、
「社員」よりも市民権を得ている「従業員」を使ってきた私ですが、
「変だぞ」と気付いてからは、もっぱら「社員」を使っています。


私が使っている社員という言葉の意味は、
パートもアルバイトも派遣社員も契約社員も正社員も、
すべての人は
「同じ会社で働く一員である」と、
広義に解釈した「社員」です。


もはや正社員だけでは会社が成り立たなくなっている今日、
この解釈のほうがリアルではないかな。


もし、正規社員を分けて考える必要があるときは
「正社員」にすればいいですし、
「従業員」を使わなくても全然、困りません。


言葉はいつでも呪文に成り得ます。
従業員という言葉を使い続けることによって、
無意識下において彼らを目下に見る習慣を
作ってしまっているとすれば、やめたい。

日本は言霊の国。
言葉そのものにパワーがあるのだから、
いい言葉、そうなってほしい言葉を使ったほうがいい。



それに、
会社は常に自主性や使命感を抱いた輝く人材を求めていますが、
彼らの呼び名が 「従業員」では、ちぐはぐです。
だから、提案したいと思いました。
「従業員」 やめませんか?