こんにちは。
経営ジャーナリストの瀬戸川礼子です。
ライフワークの女将さん取材で鬼怒川温泉へ行ってきました。
「七重八重」(ななえやえ)という素敵な名前の宿です。
宿も趣があり、何といっても女将さんが素晴らしい方。
奥村雅子さんの温かなまなざしと言葉に涙した、
1時間半の滞在でした。
先日ブログで「おついたち」の話を書いてばかりですが、
奥村さんからも思いがけず「おついたち」の話が聞けました。
毎月のおついたちには誰も起きていない時間から起き、
40分もかけて屋上、館内をお清めされるのだそうです。
「天と地の間で商売させていただく有り難さに感謝する時間」
なのだと…。
奥村さんは38歳のとき、ご主人に先立たれます。
4人のお子さんは育ち盛り。心中を察することすらできませんが、
それから40年。お子さんは全員、宿で働かれています。
これは全国的にもとても珍しいことなんですよ。
お母さんの生きる姿が魅力的だった証だな…と思いました。
奥村さんは、お歳とは思えないほど、目はきらきら肌はつやつや。
心が透き通っていると、目と肌がずっときれい。
たくさんの人に会って、私はそう確信しています。
「永久の別れを味わって思うんですね。
会えば必ず別れが来るから、一つひとつの出会いが大切だと。
そのことを主人が教えてくれたんです。
出会いをおろそかにしないように、と身を持って教えてくれました」
ご主人の名は「祐」(ゆたか)さん。
お客さまにご挨拶するときも、「水がゆたか」「木々がゆたか」と、
「ゆたか」という言葉を入れておもてなしされています。
そして、お客さまが宿を後にするときは、
心の中で「幸せ」を念じるそうです。
「いい子を4人も残していったくれた主人の大きさが
年を追うごとに大きくなります。のろけるわけじゃないけれど、
いまでも愛しているし、感謝でいっぱいです」
にこっと笑う笑顔の美しさに胸がきゅっとなりました。
「見どころは日光 まごころは七重八重」
ご主人が考えられた言葉です
駅までは3~4分。
道端のすすきが、西日に輝いていました。
飛行機雲が流れ星のよう。
「大浴場をもっとよくしてお客さまをお迎えしたい」
奥村さんの願いがやがて叶いますように。
ありがとうございます。
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「七重八重」の女将さんもご登場の本(赤い表紙のその一)
全国55人の旅館の女将さんを、
4ページずつ顔写真付きでご紹介。
人生について、おもてなしについて、教育、地域活性について。
普段はあまり語られない心の内を書いています。
ぜひご覧ください。