きれいごとでいこう!

経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。いい会社のいい話から私的なつぶやきまで、公私をつづります。

私をいじめた小学校の先生に勝ったあの日(後編)


小学校のO先生にはいじめられましたが、

いろいろ教訓を得た私でした。その前編はこちら↓

https://reikosetogawa.seesaa.net/article/201908article_6.html


ここからは後編です。

時は流れて、私は23歳。

あのときのO先生とさほど変わらない歳になりました。

エレクトーンの先生になっていた私は、

勉強のために先生友達と他教室の発表会を見に行きました。

その帰り道、

「!」 ……息が止まりました。

なんと! 信じられない!

あのO先生が目の前を歩いているではないですか。

横を向いたり、後ろの人に話しかけたりしているので

顔はばっちり見えます。

あいかわらず意地悪そう()

間違いありません。

子供の発表会に付きそって来ていたのです。



私は友達との会話なんてうわの空、

目はO先生に釘付けです。

たちまち小学校の思い出がよみがえり、

怒りがふつふつとわいてきました。

子どもだった私に、よくもあんなことを。

もう、怒りでいっぱいです。

そうだ。

いまから走って先生の前に立ちはだかり、

私を憶えていますか!? と言う。

そして、何をしてくれたか、

一緒に歩いている人の前で言ってやるんだ。

恥をかかせてやろう。

あなたの子供が同じ目に遭ったら、どう思う?

そう言って先生を問い詰める。

後ろ姿に焦点を合わせてシミュレーションしていると、

心臓は、ドキドキを超えて、バクバクしてきます。

でも、こんなチャンスは二度とない。

行こう。

ほんとに行くの?

さあ、行くならいま!

ほんとに?

行くったら行く!

と、一人内紛が起きていたそのときです。


「おかあさーーん!」


一人の男の子が後ろから走ってきました。

O先生の子供のようです。


当時の私よりも小さい、何も知らない男の子。

お母さんに駆け寄って、うれしそうにじゃれています。

その様子をしばらくじーっと眺めていました。


そっか…、

私にとってはにくらしい先生だけど、

あの子にとっては、大好きなお母さんなんだ…。


そして、悟りました。


「だめだ。あの子を傷つけることはできない」


子供の目の前でO先生をなじったら、

ものすごい復讐になります。

うらみが晴らせて、すかっとするかもしれません。

だけどそんなことをしたら、

私は、自分のしたことを一生ゆるせないと思った。

だって私は、

大人に傷つけられる子供の悲しみを知っているんだから。


小さな男の子の「おかあさーん」は、

噴火しかかっていた私の中のマグマを沈めました。


加害者の十字架を背負わずに済んだ。

あれは、神さまのはからいだったのかも…。


自分の意思で「やらない」と決めたとたん、

怒りがすーっと、おさまっていくのを感じました。

どこか、ほっとする自分もいたかな。


そして、

遠くなっていく先生の後ろ姿を眺めながら

はっきりと思ったのです。

「 私、 先生に勝った」。

「自分に勝った」と、言うほうが立派でしょうが、

そこまでかっこよくはなれませんでした。

あなたは小学校の先生でありながら、

感情にまかせて子供の私を傷つけた。

一方、エレクトーンの先生である私は、

自分の意思で、復讐の輪廻を止めた。

だから、私は先生に勝った。

それを、誇らしく思えた。


いま、私は思います。

世の中には理不尽なことがあるけれど、

たとえ降りかかってきても

自分はそういう世界に染まらずに生きよう。


嫌な奴に優しくしなくていい。

嫌な奴と仲良くしなくていい。

嫌なことをされたら、

嫌だ、不愉快だ、と言ったほうがいい。

ただ、嫌な奴に、卑怯な復讐をしてしまうと、

自分で自分の良心を傷付けてしまう。

これでは何の意味もない。

意味がないばかりか、大損です。

これでは自分を大切にしていることにならない。

だから、

嫌な奴のためではなく、

自分のために卑怯なことはやめよう。

「自分を大切にする」とは、

自分の良心を汚さず、命を守るということ。

そこをよく考えて、行動しよう。

決して、ただ耐えるということではなく。

もし、嫌な奴が現れたら、

「自分を大切にする」ことによって相手に勝つんだ。


人は幸せになるために生きているのだし、
良心を汚して幸せにはなれないのだから。

瀬戸川礼子でした。

 【当ブログの夏休み特集 記事です】

① 吃音だったあの頃 ~いまも隠れ吃音です~

https://reikosetogawa.seesaa.net/article/201908article_3.html

② 廊下に立たされたあの日

https://reikosetogawa.seesaa.net/article/201908article_4.html

③ 私をいじめた小学校の先生に勝った瞬間

https://reikosetogawa.seesaa.net/article/201908article_6.html

「いい会社」のよきリーダーが大切にしている7つのこと
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