きれいごとでいこう!

経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。いい会社のいい話から私的なつぶやきまで、公私をつづります。

吃音だったあの頃 ~いまも隠れ吃音です~


こんにちは。
経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。

全国の子どもたちは夏休み真っ盛りですね。

私の子ども時代はずいぶん遠くなりましたが、

今もはっきり覚えている思い出がいくつもあります。


そんなわけで、当ブログ「きれいごとでいこう!」では

夏休み特集「私の子ども時代」をお送りします

吃音だったあの頃 ~いまも隠れ吃音です~https://reikosetogawa.seesaa.net/article/201908article_3.html

廊下に立たされたあの日
https://reikosetogawa.seesaa.net/article/201908article_4.html

私をいじめた小学校の先生に勝った瞬間
https://reikosetogawa.seesaa.net/article/201908article_6.html

今回は 吃音だったあの頃 から。

.。* ☆+ .*. +.. * + .* ☆ + .*. +.. *

私は、気づいたときにはすでに吃音で、

症状は小学5年生くらいまで続きました。

大人の今も、症状は少し残っています。

仕事では、講演や研修など、

人前で喋る仕事もしているのですが、

突然、声が出なくなることがあるんです。

でも、だぶん誰にも気づかれていません。

気づかれないテクニックがございます♪ 

あとで書きます。

「吃音」(きつおん)は、昔は 「どもり」と言いましたが、

今は差別用語らしいので「吃音」で話を進めます。

吃音は原因不明。昔から世界各国に見られる症状です。

マリリン・モンローもそうだったとか。

つまり、私は、モンローと同類なのです。

↑ 覚えておいていただければと

吃音界で最も有名な人といえば、

イギリスのジョージ6世でしょう。

エリザベス女王のお父さんです。

『英国王のスピーチ』(2010年)という映画にもなって、

コリン・ファースは主演男優賞を受賞しました。

映画館で観たときは、痛いほどわかるのでドキドキしましたが、

とてもいい映画でした。

吃音には3つのタイプがあります。

下記は、日本吃音臨床研究会のHPより抜粋

http://kituonkenkyu.org/0002_001_01.html

1.連発(語音・音節の繰り返し)

「タタタタマゴ」のように音を繰り返す。

2.伸発(引き伸ばし)

「タ-マゴ」のように音を引き伸ばす。

3.難発(ブロック)

「・・・・・・タマゴ」のように音がつまって出てこない。

私は3の難発タイプなので、難発で進めます。

難発は、最初の音が出せなくなる症状です。

私の症状は軽かったので、ならない日もありましたが、

意図的に気にしないようにしていたから、

「大丈夫だった」という記憶にすり替えているのかもしれません。

ただ、軽度は軽度でした。

この、難発タイプは、最初の音さえ出れば、

あとはスラ~っと言葉が出てきます。

肝心なのは最初の一音が出るか出ないか。

私の場合、

「か・き・く・け・こ」は、力が入って出し難かったですが、

ふわっとした「は」や「ふ」が出せないこともありました。

結局、どの音も、出せないときは出せないのです。

出せない音はそのときどきで変わり、制御不能です。

自分ではどうしようもありません。努力も無駄です。

努力すればするほど、どつぼにはまってしまうんです。

なので、症状を受け入れた「う回路 作戦」を取っています。

りんごの「り」が出せない! となったら

「り」はさっさと捨てて(執着しない)

「アップル」とふざけて言ったり、

ブランコの「ブ」が出せない! となったら、

「ブ」に執着しないで

「あの揺れてるやつ」と言いかえる。

瞬時に言葉のう回路を探し、

行き止まりから抜け出す術を身につけました。

吃音のお陰で、

機転や開き直り力や語彙を培えたかもしれません()

このように、難発タイプは、

誤魔化しやすいのが最大の利点です。

一方、ゆえに症状が理解されにくい難点

持ち合わせています。

吃音のピークは小学校時代だったので、

やっかいだったのは国語の授業でした。

教科書の音読は誤魔化しがきかないからです。

しかも、お調子者の私ったら、

「読んでくれる人~?」

「は~い!」

という一連の流れのとき、

「今日は読めないかも」と感づいているのに、

みんなと一緒に手を挙げちゃったりします。

で、そういうときに限って

「はい、礼子ちゃん」 と、当てられてしまう。

とりあえず、礼子ちゃんは平気なふりで、

「はい」と、立ち上がってみせます。

すると、奇跡的に最初の音が出て、

事なきを得ることもありました。

ところが、というか、やっぱりというか、

まったく音が出せないお手上げの時もありました。

そういうときは、黙って立ちすくむしかなく、

先生やみんなを混乱させることになります。

日常では誤魔化せているため、

誰も私の吃音に気付いていないからです。

それに、

私はとっても活発な女の子だったので

突然、黙りこくる私を、誰も理解できません。

教室はざわざわ、騒然とします。

でも、私だって仕方なかったんだもん。

そういうときは、甘んじて先生に怒られ、

男の子たちの嘲笑を全身に浴びました。

女の子たちは心配そうに私を見ていました。

こんな場面を何度か体験しても、不登校とは無縁でした。

繊細な私、デリケートな私、ではございますが♡、

「不幸に鈍感」みたいな部分も内包しておりまして、

この程度じゃ凹みませんでした。

そもそも自分で手を挙げちゃったんだし。

吃音だったけれど、音読が好きでした。

家でも一人でよくやっていたんです。

語彙が豊富な日本語って素晴らしいですよね。

だからそういう目に遭っても、

やっぱりまた手を挙げてしまう、

能天気な礼子ちゃんなのでした。

そしてついに、

“世紀のテクニック” を開発しました!

国語の時間、読み始めの音が出せないとき、

黙って立ちすくむのは、もうや~めた。

間違ったふりで最初の音を読み飛ばし、

出せる音から読み始めちゃうという、

まことに画期的な方法を編み出したのであります。

先生も教室のみんなも、

「はじめから読みなさい」とか、「そこじゃない」とか

やいやい言うけど

聞こえない、聞こえない。

そのまま知らんふりで読み進めます。

追い詰められた人っていうのは強いんですよ。

だって、やるしかないんだから。


そんな風に、適当に、吃音サバイバーしていたら、

いつの間にか、症状はほぼ消えていました。

5のある日、

「あれ?そういえば出なくなっているな」

と気付きました。

とはいえ、症状は今も少し残っています。

前述のように、下手すると講演中に出たりします。

(あ~、来た来た、音が出せないよ~・・・)

でも、大丈夫。

パパっと、う回路を探すので。

「社員」と言いたいけど「しゃ」の音が出せないときは、

「働く人」と言いかえればいいし、

「気づきがある」と言いたいけど「き」が出せなければ、

「発見がある」とか言えばいい。

面白いことに、多少、言葉が詰まっても、

「お話の間(ま)が心地よく、言葉が響きました」

なんてアンケートに書いてくださったりするのです。

うれしいじゃないですか!😊


私の吃音がほぼ治まった要因は3つありそうです。

 自然現象

   幼少期に始まった吃音の7割は自然に消えます。

   たまたま私もそこに入りました。

 本人が悩まないようにした

   厳密に言うと少しは悩みましたが、

   「大したことじゃない」という思いが土台にありました。

   「吃音で悩むのは危険だ」と本能的に察したので、

   (かえって治らなくなりそう)

   「将来もこのままだったらどうしよう」など、

   まだ起きていないことは考えないようにしました。

   精神的に自分を追い詰めなかったのは大きかったです。

 親が悩む姿を見せなかった

   母が軽い吃音なので、「自分のせいで」と思うことは

   あったのかもしれないけれど、そういう姿を私には

   見せませんでした。これはホント有り難かった。

   また、病院に連れて行かれることもなかったので、

   それがの「大したことじゃない」の証拠になりました。 

  ただし、専門の病院・クリニックで緩和するケースも

   あるかもしれないので上記はあくまでも私の場合です。


軽度だから言えるのかもしれませんが、

吃音を経験して良かったのは、先に挙げたように

「開き直り力」「う回路を探す力」「語彙力」を

多少は養えたことです。

あと、物事をいちいち不安に思わない訓練も、

知らず知らずしていたのかもしれません。

また、なかなか理解してもらいにくい吃音の人の状態を

肌で理解できることも挙げられます。

前職の出版社にいるとき、

何度か、激しい吃音の方(読者)から

問い合わせの電話が入りました。

私以外の人は対応を嫌がるというか、怖がるので、

全部、私に回ってくるんですけど、

同類としてはウェルカムだったし、

この状態で電話をしてくる勇気に感服していました。

また普段も、たとえば誰かと2人でいて、

会話が続かずシーンとなっても平気です。

言葉が出せない状態を知っているから、

相手が吃音じゃなくても、

無理にしゃべらなくていいですよって思う。


吃音は世界的に人口の1%ほどいるんだそうです。

日本なら123万人いる計算です。

私のように「隠れ吃音」 は含まれるのかな?

この人数に含まれていないとすると、

本当はもっと多いと思います。

吃音の人は、それぞれがいろいろ考えていると思うので、

自らは開き直り、世間は寛容になっていけばいいですよねと思うし、

また、「吃音じゃない人」 に伝えたいのは、

喋り方が変わっていても、

いいでしょ別に♡ ということです。

言葉に詰まるって、誰にでもあることです。

吃音は、それがちょっと強くて特徴的。

どうか怪訝な顔をしないで、

普通に耳を傾けてほしいです。

世の中の吃音の人の中には、

外出するのが辛かったり、

友達がつくれなかったりする人もいるそうです。

見た目では分からないから、

変な人だと思われることもあると思います。

でも、自分では本当にコントロールできないんです。

仕方ないんです。

人の目が冷たくなると、焦って余計に喋りにくいんです。

そういうものだと、そのまま受け止めてほしいなあ。

大事なのは顔なんです。

親切な表情で聞いてほしい。

最後はお願いごとになりました。

隠れ吃音でセミナー講師の瀬戸川礼子でした。

隠れ吃音だけどYouTubeでも喋ってます!
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