北海道から沖縄まで、全231回の連載では、
素晴らしい女将さんとの出会いに恵まれました。
人生の悲喜こもごもをお聞きしながら、
一緒に泣いたり笑ったりさせていただいた20年間でした。
敬愛していて文通している女将さん、
SNSでお互いの近況を見あっている女将さん、
東京に来た時に連絡をくれる女将さん、
何かあると直接メッセージをくれる女将さん、
幸せなことに交流が続いています。
公私にわたるそのご縁は一生の宝物です。
たま~に、一般の方から
「取材、失敗だと感じる人もいるのでは?」と
聞かれたりしますが、
これは本当に「ない」です。
20年間、一人も、いらっしゃいません。
旅館という建物の取材ではなく、
女将さんという人間の取材なので、
失敗はないんです。
一人ひとりの人間がそうであるように、
どの女将さんも必ず魅力があります。
女将さん取材をすればするほど、
私にはできないなあと、敬意が増していく。
インタビューさせていただきながら、
途中からは、私より年下の女将さんが多くなり、
最初に現れたときはショックでした~(笑)。
それにもすっかり慣れ、月日の流れを感じます。
Facebookをしている女将さんは多いので、
取材後もつながっていられるのは嬉しいことです。
記事の執筆は、女将さんの話が豊かであるがゆえに、
1000文字に収めるのに苦労しました。
カットしたくない話を泣く泣くカットすること多し。
でも、一度として手を抜かず、
最大限の力と心で記事に仕上げる努力をしました。
もっとうまく書きたかった! ですが。
あと、これは裏話ですけれども、
最後だから書いちゃおう。交通費のことです。
女将さん取材は遠方に出向くので交通費が高くなりますが、
ほとんどの場合、講演など他の地方出張に合わせて、
周辺の女将さんを探す方法で続けてきました。
幸い、全国から講演依頼をいただくので、
地域をかたよらせず、だいたい満遍なく行けました。
新幹線や飛行機代は講演の主催者が出してくださるので、
旅行新聞への交通費請求がかなり低く抑えられます。
20年間で何百万円も得をさせてあげられたはずです。
新聞社にも交通費を請求して私腹を肥やす、という方法は
絶対に取りませんでした。
原稿料は安かったけど(笑)、
それは了解してお引き受けしている仕事だし、
「後ろめたいことはしない」が私のポリシーです。
経費がさほどかからないから、長く自由に続けられて、
女将さんとの素晴らしい出会いを得られたのもあるんです。
また、旅行新聞は「広告を出してくれている旅館を優先して
取材してください」などのリクエストは一切しませんでした。
すべて私の感覚を信頼し、任せてくれたことに感謝です。
連載は、女将さんたちからも「楽しく読んでいます」と
言っていただいていたので、
終わるのはさみしいだろうな…と想像していましたが、
不思議とそうでもありませんでした。
人と人としての付き合いは続いていくし、
手を抜かずに思いを込めてやり続けたので、
「さっぱりした気分」のほうが近いです。
その一方、会いたかったけれど、
連載終了までにインタビューが叶わなかった
女将さんもまだまだいらっしゃいます。
ご賛同いただけるのであれば、
ようやく立ち上げようとしている
私のホームページ上での連載を考えてみたいです。
連載をまとめた書籍『女将さんのこころ』の
3巻目を年内に発刊しますので、もうひと頑張りです。
出会ってくださった全国の女将のみなさま、
旅行新聞のみなさま、
そして読んでくださった読者のみなさま、
20年間ありがとうございます.。*☆+.*.。☆゚+..。*゚+
女将さんをこれからも応援し続けます!
ジャーナリストの瀬戸川礼子でした。
おもてなしの原点 女将さんのこころ その一 - 瀬戸川 礼子
おもてなしの原点 女将さんのこころ その二 - 瀬戸川 礼子
「いい会社」のよきリーダーが大切にしている7つのこと - 瀬戸川礼子