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「武井塾」(母体は天外塾)の2期2回目に参加しました。
同社はほワイト企業大賞の大賞受賞企業で、
武井さんとは同賞の委員同士でもあります。
さて、今回の塾のテーマは
「会社の中のお金の決め方」でした。
とても面白かったです。
その中から2つご紹介します。
①話し合いによる給与決定
全員の給与を社内公開しているダイヤモンドメディア社(以下、DM)。
従来、額は全員の話し合いで決めていました。
ところが昨年、時間と労力をかけるこの方法ではなく、
周りとのすり合わせなしで希望額を自己申告する
新しい方法を導入したところ、
社内が険悪な雰囲気になってしまったと。
これはよくないということで、
従来の話し合いに戻した、ということでした。
思うに、あらかじめ
「こう思っているんだよね」など伝達・話し合いがあれば、
それは「あなたは仲間だ」「あなたを信頼する」
と言われているようなものだから、
知らせてくれたことはうれしいし、
「力になろう」と思えたりするけれど、
何の予告もなく、
いきなり結論のようなものを出されると、
逆のことを考えるのが人の心情なのだな、と。
みんなで給与を話し合うやり方だと、
「〇さんは転職したらもっともらえる人だよね」とか、
「〇さんと同じくらい仕事のできる人を採用しようとしたら、
もっとコストがかかるよね」とか、
「PL(損益計算書)を見ないと決められないよね」など、
経営者かと思うような深い意見が出てくるようになるそうです。
これは給与公開の話であるだけでなく、
「当事者意識はプロセスに関わることで生まれる」(武井さん)
という好例だなと思いました。
② 経費も透明に
DM社では、各自が清算する「経費」もオープンです。
例えば、
この食事代は自腹にすべきか?
会社に請求してもいいか?
誰がどう清算しているかみんなが見られる状態であれば、
その都度、自制心が働く、と武井さんは語ります。
人間は合理的な生き物だから、
自腹か清算か微妙な場合は、
5000円の出費をそのまま自分でかぶる場合と、
5000円は戻ってくるけれど、
それによって信頼を失うかもしれない場合を天秤にかけ、
冷静に損得で考える力が発揮されるんじゃないでしょうか。
経費がブラックボックスだとこうはいかないし、
経費を潤沢に使える経営陣への不信感も芽生えやすい。
実際、高い給料をもらいながら、
さらに経費をたっぷり使っている経営陣がたくさんいることでしょう。
そういうことをしている人に、
「みんなで力を合わせてがんばろう」と言われても
白けてしまいますよね。
「経費の透明化」、重要だなあ。
今回の総論としては、
DM社が大切にしてきた、①透明性、②流動性、③開放性
の3つを取り入れていくことで、
自社のみならず他の組織も「自然(じねん)経営」
の流れに乗りやすくなるのではないかということ。
そしてさらには、
DM社が携わる不動産業界とそれに関連する法律・制度は、
目先のお金を重視した持続しない可能性の高い状態だとし、
これからは、①持続可能性、②循環経済、③自律分散
が鍵になる、とのことでした。
幸せな社会の在り方を模索し、組織のよりよい構造を
追求し続ける武井浩三さんが広げたいとする一つは、
つながりを大切にした
ポリモルフィック・ネットワーキング。
日本語にすると、
まさかの「多形構造」(たけい こうぞう)。
これはもう呼ばれているとしか思えない(笑)。
だんだん武井さんが求道者に見えてきたのでした。