2018.12.24
クリスマスイブ、いかがお過ごしですか。
風邪ひきの私は、寝正月ならぬ寝クリスマスですが
じっと静かにしているのも悪くないものです。
誰かと一緒にいなくちゃ！ とか
そういう義務的な感覚がないんです～。
（むかしはありました） 
そんなイブの夜にお届けしますブログは、
【抱きしめてほしかったあの日】というお話です。
時空を飛んで、ずっと前の夏にさかのぼります。
私はエレクトーン講師のための合宿に行きました。
場所は、静岡の「つま恋」。
ヤマハが主催した合宿は充実のいい内容でした。
けれど一つだけ、合宿とは関係のない、悲しい事がありました。
滞在中のある夜のことです。
部屋で同室の子たちとテレビを見ていたら
信じがたい悲惨なニュースが流れたのです。
ある女子高生が登校時間ぎりぎりに登校しようとしたところ、
それを阻止しようとした先生たちが
両側から力任せに校門を閉め、
女子生徒は間に挟まって死んでしまったのです。
先生の主張は、風紀を乱してはいけないと思った、
というものだったと記憶しているのですが、
私はしばし茫然とし、そして、怒りに震えました。
未来ある生徒を育て、守る役目の先生が、
ほんの少しの遅刻をした生徒を殺してしまうって
一体なんなの。
大人は何をやっているの。
…ひどくショックを受けました。
このニュースを知った時、
私もついこの前まで女子高生でした。
ぎりぎりにダッシュして門を入ったこともあります。
とても他人事とは思えません。
この女の子はどんな気持ちだったんだろう…。
怒りのあとすぐに、強い悲しみがやってきました。
とめどなく涙がこぼれました。
膝を抱えて、小さくなって、
しくしくと、その場で泣き続けていました。
…ニュースと同じくらい悲しかったのは、
誰も、泣いている私のそばに来てくれなかったことでした。
離れた場所から、
どうしたの？、大丈夫？と声が聞こえてきたり、
ニュースで泣ける感性がすごいね、なんて
場違いな声も聞こえてきたけれど、
誰一人、近くに寄って来てはくれませんでした。
私は、誰かに抱きしめてほしかった。
そうだよね、悲しいよね、って
この気持ちを分かってほしかった。
けれど、同室の人たちは私を傍観していました。
その合宿は、知らない人同士を同室にしていたから
初対面の私がいきなり泣き出したのに驚いて
どう接すればいいのか困惑していただけでしょう。
当時から、いじわるをされたとは思っていません。
だとしても、やっぱり、そばに来て欲しかった。
テレビの後、有志でわいわい集まる予定があったので、
ほかの人は私を置いて部屋を出て行きました。
～ ～ ～ ～ ～
記憶が鮮明なので詳しく書いていますが、
先述のように、誰のことも恨んでいません。
でも、こうして書くと、やっぱり泣いてしまうな。
亡くなった女の子の想いも考えると辛いし、
「抱きしめてほしかった」ってやっぱり思ってしまうな。
あのとき私は、「ほかの人には同じ思いをさせたくない」
と、強く、強く、思いました。
物事そのものが解決できなくても、
誰かがそばにいてくるだけで、
想いに寄り添ってくれるだけで、
人の心はどれほど救われることか。
悲しんでいる理由が分からなくても、
悲しみそのものに寄り添うことはできます。
逆に、悲しみに寄り添うことなく、
何があったのか理由を言わされたり、
「なんでこうしなかったのか」と
そのときの自分の対応をとがめられたり、
頼んでいないのに解決法を聞かされたりしたら
嫌になってしまう、ということも何となく理解しました。
だから、悲しい思い出ではあるんだけれど、
じゃじゃ馬のような私が
身を持って大切なことを体験できたという
大事な思い出でもあるのです。
ずいぶん大人になった今、
実際に抱きしめることができない相手でも、
心や言葉で抱きしめられる人になりたいなと
願っているし、互いにそうできる関係性が
世界中に増えていくことに、切に祈りを捧げます。
わいわいの人も、ひっそりの人も、
メリークリスマス。
瀬戸川礼子でした。 
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