きれいごとでいこう!

経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。いい会社のいい話から私的なつぶやきまで、公私をつづります。

十貫松の話


こんにちは。ジャーナリストの瀬戸川礼子です。

今日、ご紹介したいのは、
「日本人って本当に道徳心があるなあ」と思ったお話です。


ときは室町時代、1450年ごろ。
一人の商人が、伊勢の一色町にやってきました。
得意先を回って集金を済ませ、お伊勢参りも終え、
船着き場で帰りの船を待っていました。

ちょうど松の木があったので、
集金した十貫が入った巾着袋をぶら下げておきました。

「船が出るぞー!」
慌てて乗り込んだ商人は、巾着袋を忘れてきてしまいました。
「あっ」と思いましたが後の祭りです。


1年が経って、再び商人は伊勢へ集金にやってきました。
そしてあの松を見ると…、

巾着袋は、中身もそのままに、松の木にぶら下がっていました。

しかも、雨にも耐えるようにと、油紙で大事にくるまれていました。


困っているであろう人の心に思いを馳せる優しさ。
貧しくとも、後ろめたいことはしないという誇り。

先人が大切にした道徳心、積み上げてきた徳を感じました。


伊勢市一色町の海には 「十貫松跡」の石碑が建っているそうです。


このお話は、執筆をご縁に毎月送っていただいている『道経塾』の最新号に ありました。巻頭ページで日本道経会会長の田原道夫さんが紹介されています。
画像