久しぶりに実家へ帰り、母から面白い話を聞きました。
NHK番組『ためしてガッテン』で、カレーを取り上げた回のこと。
5人にカレーを作ってもらい、
専門家に一番おいしいカレーを
評価してもらうコーナーがあったそうです。
興味深いのはその結果。
高評価を得たのは、
5人の中で最も料理キャリアの浅い人。
作り慣れていないその人は、
箱に書かれたレシピを忠実に守って作った。
これが良かったというのです。
ふむふむ、なるほど。
たとえば、旅館やホテルなど接客業の取材で、
この手の話題になることがあります。
すなわち、ベテラン接客係の経験則は貴重だけれど、
経験が「慣れ」になると
思わぬクレームを引き起こすことがある。
かえって、経験のない新米接客係のひたむきさ、一生懸命さが
顧客の心をつかむのです、と。
一方、こんな話もあります。
マニュアル通り忠実に行動することが正しいとは限らない、
その場その場の空気(ニーズ)によって行動をアレンジできて
こそプロフェッショナルなのだと。
いずれの話もうなづけます。
月並みなまとめに落ち着くのですが、
やはり、初心を忘れず、
かつ柔軟な対応ができる融合型がよいのでしょうね。
家庭料理のベテランでありながら、
新聞やTVで新メニューを常に取り入れ、
体調や手元の食材をかんがみながら作る、
母のおいしい手料理を食べつつ、
そんなことを思った週末でした。
ジャーナリストの瀬戸川礼子でした。