心理療法家・河合隼雄さんの没後10年を記念する
講演会 「谷川俊太郎さんが語る河合隼雄」
に行ってきました。
いまなお、友情で結ばれているお二人です。
会場は目白の学習院創立百周年記念会館正堂。 長く東京に住んでいますが、いまだにアウェーの地は多く 目白の地に初めて足を踏み入れました。池袋の隣駅なのに。
河合さんの長男で心理学者の俊雄さんと
谷川さんの対談で進む2時間。
途中で谷川さんが自身の詩をいくつも読んでくれました。
その中から一つ、谷川さんが
「もしも自薦集を出すなら(10くらいしか選べないそうです)
これは入れると思う」という作品を。
. 「さようなら」(谷川俊太郎)
ぼくもういかなきゃなんない
すぐいかなきゃなんない
どこへいくのかわからないけど
さくらなみきのしたをとおって
おおどおりをしんごうでわたって
いつもながめてるやまをめじるしに
ひとりでいかなきゃなんない
どうしてなのかしらないけど
おかあさんごめんなさい
おとうさんにやさしくしてあげて
ぼくすききらいいわずになんでもたべる
ほんもいまよりたくさんよむとおもう
よるになったらほしをみる
ひるはいろんなひととはなしをする
そしてきっといちばんすきなものをみつける
みつけたらたいせつにしてしぬまでいきる
だからとおくにいてもさびしくないよ
ぼくもういかなきゃなんない .
谷川さんの息子さんが曲を付けた歌もあるそうで、
(歌のほうがいいんだよ、と笑って言われていました)
帰宅してyoutubeで検索したらありました。
とてもいい曲です。
谷川さんは「朝のリレー」と「生きる」が特に有名ですが、
昔の詩ばかり褒められるのは微妙な気持ちのご様子です。
やっぱり今の詩、新しい詩にも触れてほしい。
わかる。
それと、詩は意味から自由になろうとしている言語だけど、
「行き過ぎると一人よがりになる。
僕は毎日“生活している”ということに足をつけて詩を書きたい」
という言葉にも共感しました。
ほかにもたくさん素敵な詩「宿題」とか、
笑っちゃうユーモアあふれる詩「ひも」、
などなどたくさん。
言葉って素晴らしい。
選び出された珠玉の言葉にたくさん触れて幸せな夜でした。
経営ジャーナリストの瀬戸川礼子でした。
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