きれいごとでいこう!

経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。いい会社のいい話から私的なつぶやきまで、公私をつづります。

宗教団体からの執筆依頼をお断りした話

 

こんにちは。
今日は「執筆依頼をお断りした話」です。
 
きれいごとでいこう!をモットーとし、
うしろめたいことはしない、と
自分自身に約束している私にとって、

また「何のために・誰のために」を
忘れずにいたい立場として、
いい決断をしたんじゃないかと思っている話です。



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先日、安倍元総理が銃撃された事件がありました。
犯人は、旧統一教会によって家庭が崩壊したと
恨みを持っていたとされ、
統一教会(世界平和統一家庭連合)が
再び注目されています。

 

この宗教団体から多額の献金や
人的労力を差し出されて、
それを受け入れている政治家たちも分かってきました。


~  ~  ~

さて、ある程度の大きさの宗教団体は、
布教活動のために、新聞・雑誌などの媒体を持っていると思います。
昔は車内の中刷り広告を頻繁に見かけたものです。

しかも、有名人が毎号、出ていて、
「信者なのかな?」と私は不思議でした。

 

そんな私のところにも以前、
A団体とB団体、それぞれ宗教団体の
雑誌から依頼が舞い込みました。
 
2誌とも、
働く人が幸せな「いい会社」を長年、取材している私に、
その意義や特徴を語ってほしいというインタビュー依頼です。
 
なぜ宗教団体の雑誌なのか分かったかというと、
一つの団体は宗教名が書いてあって、
もう一つは宗教名は伏せ、雑誌名だけ書かれていましたが、
どちらにしても「どういう雑誌なのか」を
調べるのは当然のことだからです。
 
私のような一般人ですら、そこは注意をするのですから、
政治家が「そうとは知らずに取材を受けた」とか
「依頼されたので講演した」なんて、
ありえないと思っています。
 
さて、その雑誌の話に戻りますが、
どちらの担当者も丁寧な方でした。
特に、宗教名を伏せていたA団体の担当者は
誠意の感じられる方でした。
 
インタビューの連載ぺージだったので、
過去に登場した方々のリストも送ってくれました。
著名な方々がずらりと掲載されていて、
こういう方々が出たぺージに載ることを
誇らしいと感じる人もいるに違いありません。
私が直接知っている方も出られていました。

 

「この人たち、みんな信者なのかな?」。
私はまた同じ疑問を抱きました。


「まあ、そうじゃないだろうな」とは
うすうす気づいていたけれど。

 

インタビューの具体的なご依頼内容は
私にとって願ってもないものでした。
カラーページで、記事と一緒に本の紹介も
してくれるというのです。
このページに出れば、たくさんの読者が
本を買ってくれそうだと思いました。
 
担当者さんも、このページに出た人の本は
読者が買うのでかなり売れます、
みたいなことをおっしゃっていました。

本を読んでもらえるなら……。
あれだけ有名人が出ているんだから……。
ちょっと気持ちが揺れましたが、
取材はお断りしました。

 

私は特定の信仰を持たない主義です。
また、特定の宗教の媒体に出ることも
信条としてできません。ごめんなさい。
そうお伝えしました。

 

担当者は最後までいい方で、
おっしゃることはよくわかりますと、
理解を示してくれました。

 

10年以上も前の話です。



あの時も今も、一人でも多くの人に、
働き方や会社や社会がよくなるための
ヒントをお届けしたい、と強く思っています。
 
でも、断ざるを得ないこともあります。
その団体に所属することで
心と思考を奪われている人がいる可能性がある限り、
間接的にでも加担することはできないのです。


信仰の自由という言葉のもとに、

心の自由を奪うのは罪なことです。

 

 

リストにずらりと並んだ著名人の方々は、
信者ではない人がほとんどだったかと思います。
どんな判断で取材を受けたのでしょうか?
本が売れればよかったのでしょうか?
 
自分が出ていることで興味を持って媒体を読み、
それを機会に信者になる人が出ないとも限らないのに、
その責任は考えなかったのでしょうか?



社会の問題は一部分で起きているのではなく、
不特定多数の人々がつながって出来ている、と
そんなことを思ったのでした。


~  ~  ~

 

ただ、このケースでは私は関与しませんでしたが
知らず知らずに関わっていることがないとも限りません。

「この仕事は何のために・誰のためになるのか」。

原点に返ることを忘れないでいたいと思います。



経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子でした。