きれいごとでいこう!

経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。いい会社のいい話から私的なつぶやきまで、公私をつづります。

落語は好きなんだけど、ハラスメント的に考えさせられた話

こんにちは。
経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。

 

今日のテーマは、
「落語は好きなんだけど、
 ハラスメント的に考えさせられた話」です。


好きなんですよね、落語。

演目はなんといっても王道の「芝浜」が一番。

噺家さんは、昔の人なら、古今亭 志ん生。
今なら、立川志の輔さんや柳家喬太郎さん。
チケットがなかなか取れない人気の方なので
YouTubeで聞いてます。

昔、立川談志さんも生で聞いたことがあるんですよ。
すごくないですか♪

~  ~  ~

で、久しぶりに大ホールで豪華競演!落語名人会に
行ってきたのです。母がチケットを取ってくれて。

笑点メンバーの三遊亭好楽さん、三遊亭小遊三さん、
そして柳家喬太郎さんはまさかのコロナ感染で欠席(涙)。
代わりに桂宮治さんが登場されました。


お三方ともほんと面白くて、
約1300人が入った会場は爆笑、爆笑。
「まくら」からめちゃめちゃ面白い。
いやー、これがプロかと、感服でした。

生はいいですね。こんなに面白いなら、
浅草や上野の寄席に行きたいなあと思いました。

 

~  ~  ~

 

だけど、「笑えないよ……」と
思うところもたくさんあったんです。

一つだけ挙げると、
「口入屋」という演目は夜這いの話でした。

美人の女中さんが働き始めると
男衆がそわそわして集中しないので
不美人しか雇わない店が話の舞台です。
(この時点で笑えなくなりつつある私)

ところがある日、
美人の女中さんを雇ったもんだから、
それなりの権限のある男たちが
1人、2人、3人と夜這いを試みてーー、

 

もちろん、全員大失敗して
チャンチャンで終わるんですけど、
未遂なら笑えるか?というと、私は笑えなかった…。

夜這いってつまり、強姦のことだよねと
現代に生きる女性の私は思ってしまうわけです。

 

で、何を思ったかというと、
意識のアップデートについてです。

この演目「口入屋」は古典落語なので、
長い年月、脈々と語り継がれてきた作品ですが、
こういう話を面白がる意識って、
どんどん淘汰されていくんじゃないかなあ。

難しく考えないで笑うほうが粋かな?
江戸時代の話なんだから、
現代の感覚で聞いちゃあ野暮ってものかな?


うーんだけど、
私のように「これは笑えない」という意識のほうが
今後、もっと強くなっていくんじゃないかと思うのです。

昔はこれで笑っていたのは想像できる。
だけど、もう、違うんだよな~。

意地の悪い輩をからかう話ならわかるけど、
女性を襲う話は笑えないんですよ。

 

~  ~  ~

 

桂宮治さんがまくらで面白い話を聞かせてくれました。
(宮治さんも本当に面白かった)

中学や高校にも出向き、落語をされるそうなんですが、
偏差値と笑いって比例するんですって。

落語って、聞き手の理解力や想像力が不可欠だから
偏差値の高いほうが笑いが起きるというのは
なるほどそうか、と納得でした。

宮治さんは自分自身が偏差値の低い高校出身だそうで
面白くこの話をしてくれました。

で、ようするにそんなわけで、
江戸時代から人々を笑わせ、長く続いてきた落語は、
日本人の教養の高さを表しているとも思うんです。

 

けれど、時代とともに私たちの意識は変化します。
昔は、夜這いを笑って話せても、
今は、強姦を笑う世の中ではなくなっています。

昔は、飲んだくれのDV男が話の主役になれても、
今は、そんな男に可愛げを感じる人はいないでしょう。

 

古典落語の演目って、この「口入屋」だけじゃなくて、
男尊女卑の話がかなり多いんですよね。
そういう時代につくられたものだから。

なので、古典の尊重と現代の風潮のどちらを選ぶか
簡単な問題じゃないのはわかるんです。

 

でも、長く続くものは、それが文化でも会社でも、
少しずつその時代に合ったものに変えてきたから
存在し得るものではないかと思います。


噺家さんたちの芸は本当に素晴らしいので、
だからこそ、これからも末永く続くように
現代の感覚にアップデートされた、
心から笑える演目を聞かせてほしいなあと思いました。

 

もちろん古典落語でも、
男尊女卑とか差別とかを感じさせない、
胸を痛めずに素直に笑える演目はたくさんありますし、
現代の創作落語も(志の輔さんや喬太郎さんなど)
ほんと腹を抱えて笑えます。

 

ハラスメントを感じずに笑いたいなあ。

 

現代の感覚へのアップデートは
世界を狭めるのではなく、広げるものだと思うのです。

 

楽しい落語はこれからも聞きます!