こんにちは。
経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。
私は30年間、いろいろな会社の取材をしてきたのですが、
いい会社の取材などで、
何度か聞いてきた言葉があります。
それは、
「採用のミスは教育ではカバーできない」。
端的に言えば、
新卒なら学歴ばかり重視するのでなく、
中卒なら即戦力かどうかばかり重視するのでなく、
双方ともに自社の目指す方向性と相性がよいかどうか、
人柄がどうか、も大事になるというわけです。
もちろん例外はあります。
採用した当初は失敗したと思ったけれど、
あきらめずに接し、寄り添い、教育していったら、
素晴らしいリーダーになったというケース。
また、適性を見ないで採用しているけれど、
さほど問題なく経営している会社もあります。
しかしこうした話よりも多く聞くのは、
人柄に目をつぶって能力主義で採用した結果、
「方向性(理念や目的)にまったく共感せず、
周りのやる気をそぐ人を採用してしまった」
というものです。
もうちょっと具体的に書くと、
性格にかなり難のある人を採用し、
教育もせずにすくすく悪い面を成長させた上、
こともあろうにリーダーにしてしまった会社があります。
いじめられる後輩たちは次々と辞めていくのですが、
そのリーダーは後輩より仕事ができるため
(自分を脅かすような、仕事のできる後輩をつぶしていく)
辞めてほしいけど、辞めてほしくない……。
そんな状態になっている会社もあるのです。
~ ~ ~
いい会社は、採用の失敗を避けるために、
・自社の方向性を明確に設定し
・インターンの期間を相当 長く取ったり
・性格診断テストをしたり
・読書感想文を書いてもらったり
・内定前から合宿やイベントに招待したり
・みんなで共に育てていく覚悟があったり
・会社独自の精度の高い質問項目を持っていたりします。
(ほかいろいろやっています)
私は社員のクビには原則反対です。
採用した側には責任が伴うと思うからです。
が、そうはいっても、
会社にダメージを与え続ける社員や
全く貢献しない(しようとしない)社員を
雇い続けねばならない状態がよいとも思えません。
日本は社員が守られていて、
クビにしずらい社会でもあります。
労働基準法
第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、
社会通念上相当であると認められない場合は、
その権利を濫用したものとして、無効とする。
そんな背景があるので、
お互いのためにも採用はほんっと大事なのです。
せっかく長い時間と大金と心をかけるなら、
お互いに気持ちよく成長できる同士がいいはずです。
採用のミスは教育ではカバーできない。
例外はあるにせよ、心に留めておきたい言葉です。
経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子でした。