きれいごとでいこう!

経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。いい会社のいい話から私的なつぶやきまで、公私をつづります。

コロナ感染を公表した旅館のお話



先日、聞いた話です。
ある旅館のスタッフが春にコロナ感染しました。
 
チェックに来た保健所は
「公表は、しても・しなくても、どちらでも大丈夫です」
と言ってくれたそうです。

 

さあ、自分が経営者ならどうするでしょう?
こうしなければならない、と義務づけられていたら、
自分の考えなどいらないから楽ですが、
「選べる」という状況になったとき
自分の哲学が問われます

 

うーんどうしよう。

 

旅館はイメージが大事です。
また、もともと衛生面は
宿泊や飲食施設の要であり、
ましてやコロナ禍なら、
感染によるイメージダウンは避けたいところです。

 

~  ~  ~

 

この旅館が選んだのは、
誠実な経営を通すために公表する、
という道でした。

 

誹謗中傷はありました。
しかし、それよりはるかに多くの応援が
各地から届いたそうです。
常連客の応援は言うまでもなく、
この旅館を知らなかった人まで、
「公表する誠実さに感動した」
「ここは信じられる旅館だ」
「こういうところに行きたい」など
SNSで発信してくれたそうです。

 

2週間の隔離生活が終わり、
再開に向けて再び確認に来た保健所は、

「これほど協力的で
 これほど徹底している所は初めてです。
 素晴らしいですね」
と言ってくれたそうです。

 

公表しなくてもいい選択肢があったとき、
経営者の心は揺れ動くのではないでしょうか。
もちろん公表しなくても全然、悪くありません。
任意ですから、好きな方を選ぶ権利があります。
公表しない場合でも、スタッフは
「自分たちを守るためにそうしてくれた」
と思ってくれるかもしれません。

 

ただ今回、公表した旅館は、
「隠すという選択はない」と考えました。
想像するにスタッフは、
「普段から誠実さを大切にしているけれど、
 どんなときも揺るがない。本物だ」と
思ってくれたのではないでしょうか。

 

この話に一つの正解はありません。
だからこそ、どちらを選ぶのかが問われ、
その一つ一つの先に、
未来がつくられていくのだと思います。

 

自分たちらしい選択をしたこの旅館は、
公表によって社内外の信頼を一層、
厚くされました。
報われてよかったし、
お天道様はちゃんと見ているな~と
思ったのでした。
🌞

 

経営ジャーナリスト・中小企業診断士の
瀬戸川礼子でした。
 
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