きれいごとでいこう!

経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。いい会社のいい話から私的なつぶやきまで、公私をつづります。

アンケートに必要な「目的と覚悟」


よく言われるアンケートの落とし穴は、
取ることが目的になってしまい、
結果を活かさずに終わってしまうこと
ですが、


私が考えるアンケートで必要なことは「目的と覚悟」です。


目的と覚悟がないと、意外と禍根を残すので、
そうならないためにも下記のことに気を付けてほしいなと思います。



私自身、アンケートでやる気をなくしたことがあるのです。
社員の立場と、お客さんの立場の計2回。


1回目は、
勤めていた会社が大々的な顧客アンケートを行ったときです。
帳合いや封筒詰め、発送作業、回収と、仕事が増えて大変!!
夜10時過ぎまで何日もかかりました。


それなのに、出た結果はほとんど活かされず徒労に終わり、
周りも私も、モチベーションがどーんと下がったんです。

アンケートの目的はなんだったの?
私たちの大変な思いは無駄になっただけだ
と、思ってしまったんですね。



2回目は、お客さんの立場として。
生徒として複数回、通った講座での出来事です。
前期が過ぎた時点でアンケートが行なわれました。

アンケートを取る目的は講座をよりよいものにすること
だと私は思ったので、
素晴らしい点、感謝の言葉を書いた後に、
直してほしい点も記しました。

素晴らしい点は、学ぶ楽しさがあり、仲間もできること。
直してほしい点は、
全員に個別アドバイスをする時間の中で、
私だけされずに残念に思ったことがあり、
教育の機会は平等に与えてくださいということです。
飛行機や新幹線でわざわざ来る人も多かったので、
自分と同じ思いはさせないであげてほしい、と。

こういうことを書くのって、勇気が要ります。
でも、私が書けば以降は防止できるだろうと考えました。
それは、講師、生徒、主催者、みんなにとって有益なはずです。

アンケートは無記名でもよかったのですが、
講師が全員の顔と名前を知っている講座ですし
記名するのが礼儀だと思い、名前を書いて出しました。


さて、次の講義が来ました。
なんと、講師は私のアンケートだけ読み上げました。名前入りで。
公表していいかという事前の問い合わせはありませんでした。
しかも、素晴らしいと書いたことには触れず、
直してほしい点だけをクレームのように読み、

さらには、
瀬戸川さんは自分自身を見てほしがっている、
という主旨で伝えました。
私の主旨はそうではなく、
「ほかの人に同じ思いをさせないでほしい」だったのですが。


また次の講座が来て、
講師は私にアドバイスする順番になると、
「今日は大丈夫でしょ、瀬戸川さん」
そのまた次の講座でも、
「瀬戸川さんお待たせしました」などなど、
毎回、私を茶化すようになりました。




とまあ、上記がアンケートにまつわる2つの実体験です。
共通するのは、 「アンケートを取る目的を見失っている」ことと、 「アンケートの結果に真摯に向き合う覚悟がない」ことです。


講演で、私はたまにアンケートの話をします。
上記に挙げた、「目的と覚悟」が大事で、
これに自信がないなら、
取らないほうがましです、とお伝えしています。


アンケートを取りっぱなしにしたり、結果に向き合わないと、
周りの社員も、協力した顧客も、
想像以上に「失望」というダメージを受けるからです。
そしてこのダメージは気づかれにくいんです。


これは私の実体験だけで言っているのではなく、
多くの企業取材を通して得た事実です。


アンケートを取るなら、
① なぜ取るのかという 「目的を明確にする」。
② どんな結果が出ても 「覚悟して向き合う」。
  そしてこの覚悟に付随して、
③ 「フィードバック」が必要になります。



せっかく、時間と労力をかけて行うアンケート。
アンケート自体は有益だと思うので、
どうか目的と覚悟を大切にお願いします。
そうすればアンケートのためのアンケートではなく、
よりよく改善するための生きたアンケートとなるでしょう。


取材と実体験の双方からアンケートの①②③を力説する ジャーナリストの瀬戸川礼子でした。