こんにちは。2017年7月のおついたちです。
今月の言葉は、
「ごくありふれた日常のなかに、
さりげなく、ひっそりと、
幸福はかくれています」(やなせたかし)
私は経営ジャーナリストとして独立する前、
出版社で7年間、編集記者をしていました。
その時期のある日、
やなせたかしさんとお電話で話したことがあります。
話したといっても電話を取り次いだだけなのですが。
ここから先はちょっと辛い思い出です。
20代だった私はその時、忙しい忙しいと思いながら、
ぶっきらぼうに電話に出ました。
そして、相手が名前を名乗らないことにさらにイライラし、
途中で「あ、やなせたかしさんだ」と気づいてからも、
今さら猫なで声を出すのも憚られ、
感じ悪いトーンのまま通してしまいました。
取り次いだ後輩にも悲しい思いをさせました。
それがずっと申し訳なくて、
いつかもし会うことができたら、謝りたかった。
やなせたかしさんは、取り次ぎの一回だけの
電話のことなんて覚えているはずがないけれど、
あのときはごめんなさい、と言いたかった。
でも、2013年に亡くなられ、
もう叶わない望みになりました。
たくさんの夢を届けた素晴らしい人に対して、
私の態度はなんてお粗末だったんでしょう。
今もお名前を見聞きするたびに、
胸がちくっと痛みます。
たぶん、一生そうでしょう。
人に優しくするということは、
その人のためだけではなく、
自分のためにもなることなんだって、痛感します。
やなせたかしさんのお名前をじーっと見ている私を、
わっ、神社の猫先生が中からじーっと見ていました。
経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子でした。