きれいごとでいこう!

経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。いい会社のいい話から私的なつぶやきまで、公私をつづります。

べてるの家を訪問しました ~弱さの情報公開~

こんにちは。
経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。

 

2016年6月19〜21日はホワイト経営合宿in北海道でした。
十勝バス、植松電機、べてるの家。
想像以上の感動に包まれました。

 

「べてるの家」(浦河郡浦河町)から順次、紹介していきます。
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人間の根源的な「安心欲求」がいかに尊いものか――。
心の底まで響く、忘れられない滞在となりました。
ここは、精神障害などを抱えた当事者の生活の場であり、
ケアの場であり、職場でもあります。



思い込みをくつがえす名言の数々!
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安心して絶望できる人生
弱さの情報公開
昇る人生から降りる人生へ
自分でつけよう自分の病名
苦労を取り戻す
幻聴さんと幻覚さん
日々順調に問題だらけ
手を動かすより口を動かせ
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こんな風に、べてるはどこかユーモラス。
深刻になろうと思えば果てしなく深刻になれる状況だと思うけれど、
「にもかかわらず笑う」の精神で、
病気そのものも、病気と共に生きる自分たちも、
可笑しみを持って受け入れてしまうのです。

 

すると、「出来事」と「人」を分けて客観的に眺められるのです。

 

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べてるらしさは、「当事者研究」に顕著です。
自分の病気にまつわる生活上の苦労を、
当事者が仲間や専門家と連携し、
ユニークなアイデアを持ち寄って研究し、
現実の生活に生かしていこうとするものです。
外部の訪問者にもプレゼンしてくれるのですが、
これはまさに、弱さの情報公開でした。
 
総合失調症のIさんは、
自分の病名を“基本がんばりタイプ信用回復不安型”と命名。
慌てるとすぐにパニックになってしまうことから、
「安心して働く」をテーマに研究されました。
Iさんによると、昔は幻聴さんに「ここにいちゃいけないぞ」と
言われてよく家に帰ってしまったけれど、
今は幻聴さんがいるということを情報公開し、
分かってくれる仲間を増やしたことで落ち着いてきたそうです。
人と自分を比べることも減りました。



Sさんの研究は「スケジュール管理」です。
何をすればいいか分からなくなってしまうので、
段ボールでスケジュールPadをつくり、
30分刻みで毎日予定を決めておきます。
首からはタイマーをぶら下げています。
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発表を聞かせてもらっていると、
どんどん目頭が熱くなってきます。
この気持ち…。
しっくりくる言葉がまだ見つかりません。
 
古株のKさんも話を聞かせてくれました。
入退院を40回以上繰り返し、
ソーシャルワーカーの向谷地(むかいやち)さんの首をしめたり、
部屋で暴れたり、いろいろなことがあったそうですが、
ここではさまざまな出会いがあり、
今日はホワイト経営合宿のみなさんにも会えたし、
ここはいいところだと。
俺は幸せだ、こんな俺でも生きていればいいことがある、
というKさんの言葉に、
胸を打たれなかった人はいなかったのではないかなと思います。
 
このように、弱さを隠すよりも
「自分って本当はこうなんだよ~」と言えてしまえるほうが、
気持ちが楽だし、強くなれるし、実は人にも好かれるし、
みんながこうして認め合えたら、
どんなに「安心な場」になるだろうと想像しました。
 
その場が安心ならば、きっと心は自由に羽ばたけます。
より優しくなれるし、意見を言うのも、主体的に動くのも、
もっと何かできないか?という発想も増えていくように思います。



私たちに必要なのは、会社でも、家庭でも、どんなところでも、
まずは「安心感」なのではないでしょうか。



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世間には、健常とは思えないような健常者もいるし(私もそうかな?)、
まっとうなことを伝えてくれる障がい者もいます。
健常者って何だろう?、障がい者って何だろう?



健常者と言われている私たちが学んだほうがいいことが、
べてるの家にはたくさん、たくさんありました。



帰りしな、Kさんに呼び止められました。
「帰るの? 握手しようよ。また取材に来るなら
俺の話をしてやってもいいよ」。
ふふふ。ええ、そのときはぜひお願いします!



経営ジャーナリストでホワイト企業大賞委員の瀬戸川礼子でした。

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