きれいごとでいこう!

経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。いい会社のいい話から私的なつぶやきまで、公私をつづります。

本物の歌手か 偽物のカスか ?


淡谷のり子さんというシャンソン歌手がいました(1907~1999年)。
ブルースの女王と呼ばれた彼女は、
オペラ歌手を目指して声楽を学び、
戦時下には歌で慰問活動した人生経験もあり、
本物の歌手という自負があったようです。


晩年は、モノマネによく取り上げられ、
高く震える声でこんな風にマネされました。
「いまの若い歌手はね。あれは歌手ではないのよ。カスです」。

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私はこれが可笑しくて面白がっていましたが、
ある時、「ん? ちょっと待った」と思いました。

声楽の基礎から学び、
山あり谷ありの人生を歩んだ人が歌うシャンソンは、
確かに本物だったのでしょう。多くの賞賛もあったでしょう。
これ自体は素晴らしいことと思います。
音楽界にはこのような人が不可欠だとも思います。


一方、同時期には、歌の基礎がなってない、声量もない、
うまくない歌手だけど、絶大な人気があり、
よほど大勢の人に夢を与え、生きる喜びを与え、
人々の思い出の中に溶け込んで心の支えになっている歌手もいました。
ほとんどの人は、音楽の楽しさを流行歌によって知り得ているし、
こういう歌手が音楽産業を支えていたりします。


この人たちは、果たしてカスでしょうか?


いいえ、私は、彼らも立派な歌手だと思いました。
同じ歌手でも目指す方向や役割が違うだけで。

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歌手なのかカスなのか。
この手の話はいろいろな世界にあります。
私の好きな着物もそうだし、ほかの芸術も、経営も、
自然、料理、ものづくり、おもてなし、教育、人間そのものまで、
ほとんどのものごとに登場する話といってよさそうです。


本物は本物で極めたらいいし、
私もできるだけ本物に触れたい。
歌を聞くなら、やっぱり歌の上手い歌手がいいな。


けれど、あらゆるものごとには多面性があります。
だから、どの視点で見るかで、本物かそう思えないかが
違ってくることもあります。
見る人の感性や時間軸によっても変わるでしょう。


そんな中で、自分は自分の信じる本物を柔らかに求めていこう。
そんなことを思い出し、考え直した午後でした。


経営ジャーナリストの瀬戸川礼子でした。

 
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