「その火を飛び越えて来い」
これは、ご存じ三島由紀夫の『潮騒』で
初江が新治に放った言葉です。
舞台となった神島にこの夏、
連れて行っていただきました。
鳥羽の佐田浜港から船で40分。
周囲3.9km、人口440人の小さな島です。
台風で行けないかもしれない…
という前日までの心配はどこへやら。
じりじりと太陽が照りつける炎天下の中
200段の石段や、山道、坂道を歩き、
3時間かけて島を一周。
日焼け止めクリームを何度つけても、
すぐに汗で流れる始末。
と書くと、
なにが悲しくてそんな特訓をしたのか、
と思われそうですが(笑)
風の止まった夏の空気
静まりかえった町
一人でシャボン玉を飛ばす澄んだ瞳の少女
蝉の輪唱
バッタの跳ねる音
ブドウのような花をつける雑草の甘い香り
蜂が耳元でたてるブーンという羽音
空にのびる飛行機雲
小さな風が通り過ぎるときの幸福感…。
無添加の夏が、そこにはありました。
八代神社は、200段以上の石段の上にあります。
島の元気な女の子が「私、登れるよ!」と走り出しました。
神島灯台。初点灯は明治43年5月です。
『潮騒』で、初江が新治にあのセリフを言った場所。
監的哨(かんてきしょう)の跡地。
旧陸軍が砲弾の着弾を観測した場所で、
きれい改修されています。
カルスト地形と「ニワの浜」。
絵葉書の中にいるような見事な景色。
ここで、海女たちがアワビを獲ります。
ニワの浜を見下ろす最高のベンチでお昼ごはん。
港の唯一の売店(左)で買った
打ち上げられていた「アラメ」。
アワビの生育に欠かせない海草で、
神島では年に1回、わずか2時間しか採ってはいけない希少品です。
また山道を歩いて
青い海に吸い込まれそうになって
ふたたび町に帰ってきました。
地元の方と撮っていただきました
お約束のこれ(笑)。
『潮騒』はこの百恵ちゃんや小百合さんを含めて
5本も映画化され、日本映画で最多だそうです。
すてきな思い出。 夏休みらしい夏休みをありがとうございます。
経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子でした。