陸前高田の一本松にも足を運びました。
つい1年4カ月前まで、実に7万本もの松林がありました。
この松のことを、私はどうしても擬人化して考えてしまいます。
どんなに怖かっただろうな。
みんないなくなって悲しいだろうな。一人ぼっちで寂しいだろうな。
豊かな緑の姿が、全身茶色くなってしまって、
命尽きたことが遠目にも分かる。
それでも立っているのは、そんな姿を見られるのは、辛くないかな。
あなたはシンボルとして剥製にされることが決まったみたいだけど、
どんな気持ちなのかな。
とにかく本当によくがんばったね。
日本有数の景勝地に生きていた松は、今、がれきの中にいます。
車に戻って、遠ざかる松を見ていたら、不覚にも泣いてしまいました。
車に乗っていると、ところどころに「原っぱ」を見ます。
津波で家やビルが流されて、壊されたところが、
1年4カ月たって、草が生えてきているのです。
4階まで波が来たことが分かります。
テレビで見て、現地にいても、想像し難いものがあります。
がれきの小山もいくつも見ました。これにも雑草が生えてきています。 年月とともに風化していくことのやるせなさを感じ、 仕事を通じて、私はできることをし続ける、と思いを新たにしました。
経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子でした。