図書館のパソコンエリアに、
３年ぶり、懐かしい財務さんがいました。
「財務さん」。密かに呼んでいるあだ名です。
中小企業診断士の勉強をしていたころ、
図書館の６人がけの大きなテーブルに座ると、
いつも財務さんの姿がありました。
財務さんは見たところ５０代。男性。
なぜ覚えているかというと、
今日のように平日もいるのと、
キョロキョロしているか、
寝ているかのどちらかだから。
当時、中小企業診断士の受験中で
同じ浪人生の私でさえ、
「だいじょぶか？」と思っていました。
ある日、寝ている隙にチラ見したら、
簿記を勉強中でした。
税理士か会計士の資格を取ろうとしているようです。
でも、勉強している姿を見たことがない。
知る限り、少なくとも３年はこの状態が続きました。
そして今日の再会です。
新しく出来たパソコンエリアは長いカウンターで、
スペースごとに曇りガラスで仕切られています。
その隣に、いやあ、財務さんがいたのでした。
相変わらず簿記の勉強中でした。
曇りガラス越しに、動きが伝わってきます。
このスペースは時間制なので、
さすがにもったいないから寝ていません。
でも、何かをこっそり食べてもぐもぐ、
飴をくちゃくちゃ、お茶をごくごく、
バックから何かを取り出しては仕舞ってガサガサ、
椅子を動かしたり、伸びをしたり、
普通のボリュームでひとり言を言ったり。
集中力が１０分と持たないのです。
ああ、財務さん。おかわりなく。
２時間そんな調子で、
やがて帰っていきました。
私は原稿を一本書き上げましたが、
お気づきの通り、集中力が中途半端でしょう(笑)。
財務さんのことは笑えないのでした。
Ｂ型のながら族。そんな私は思います。
集中力って何だろう。
自分の弱点から考えをたどると、これかな。
「心が無駄なお喋りをしない時間を、
長く維持できる力 」
これができると、
「平等に与えられている時間。その質を高める力」
となって、
「いま、このときを大事にできる力」
になるのでしょうか。
集中力、養いたいなあ。
経営ジャーナリストの瀬戸川礼子でした。
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