きれいごとでいこう!

経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。いい会社のいい話から私的なつぶやきまで、公私をつづります。

セカンドハーベスト 全ての人に食べ物を

 

貧しい国々に送られている世界の食糧援助量は、

1年間で850万トン。

 

これに対して、日本国内で1年間に捨てられる食糧は、、、、

なんと2000万トン!

日本の廃棄量は、世界の援助量の2倍を軽く超えていました。

 

日本で消費される食糧は年間6000万トンだから、

3分の1(2000万トン)も捨てられていることになります。

 

さらに、日本は豊かな国だと思われているけれど、

1950万人もの人々は貧困線の中で生活していて

(貧困線:それ以下の収入では最低生活も維持できない境界線)、

そのうち65万人は食べ物が十分に確保されていないそうです。

 

食べ物に困っている人と聞くと、ホームレスの方が浮かびますが、

統計的には「ホームレス」は4%。「高齢者」は43%。

実は、「母子家庭」が53%と、トップなのでした。

幼い妹にご飯を食べさせるために、小学生のお姉ちゃんが

一食分のご飯を我慢する。そんな家庭も少なくないそうです。

胸が締め付けられるようです。

 

こうした話を、セカンドハーベスト・ジャパン(特定非営利活動法人)の

http://www.2hj.org/index.php/jpn_home

チャールズ・マクジルトン理事長および和田祐介事務局長の

講演でうかがいました。

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セカンドハーベストのキャッチフレーズは、「全ての人に、食べ物を」。

廃棄されるはずだった食糧を、施設や先ほどの母子家庭、ホームレス、

高齢者の方々に届ける有意義な仕事をされています。

 

さて、廃棄されるはずだった食糧というのはたとえば、

中身はまったく問題がないのに、箱が汚れたり、缶の一部が

ひしゃげてしまったり、パッケージの印刷を間違えたため、

売り物にならない商品などです。

 

あるときは、5トンのレーズンが寄付されたそうです。

なんでも、プレゼントキャンペーン用のシールを袋に貼ったものの、

「応募方法はシールの裏面をご覧ください」と書いてあるのに、

そのシールがはがれないことが判明 。

これでもう、売り物にならなくなってしまいました。

捨てるためには200万円の廃棄費用がかかってしまうし、

とにかく「もったいない」。

ということで、もらってくれないか、と声がかかったそうです。

 

まさに、セカンドハーベスト(2回目の収穫)ですね。

 

同団体によると、寄付する側の企業が得られるメリットは4点です。

①廃棄コストが減らせる

②よいことをすることで社員のやる気が高まる

③CSR(企業の社会貢献)が企業イメージを高める

④食品を与えられた人へのマーケティング活動になる

 

とはいえ、捨てるはずの食品を寄付することについて、

躊躇する企業も多いそうです。

なぜならば、万が一、横流しされて安売りされてしまうと、

ブランドに傷がついたり、正規商品の売り上げが落ちるからです。

 

よって、セカンドハーベストでは、最初の取引の際に、

転売しないことなど、きちんと同意書を交わしています。

もちろん寄付する側の会社にも、品質保証をしてもらいます。

口に入るものですから、そこは慎重に行ないます。

まずくて売れ残った商品の寄付もたまにあるようですが(笑)、

安全面で問題になったことはないそうです。

 

セカンドハーベストは、ドライバーなどボランティアも募集中。

自分の車で、施設や個人宅に食糧を運ぶ仕事です。

「サンタクロースになった気分」と、何度もボランティアに参加する方

もいると聞きました。

 

ところでアメリカでは、企業が寄付をすると減税対象になりますが、

日本ではならない。寄付がいまひとつ日本に浸透しない理由が

ここにもありますよね。

 

 

アフリカなど貧しい国々の話ではなくて、

日本の国で明日食べるものにも困っている人がこれほどいる。

この事実に改めて驚きました。知識不足も痛感しました。

これからも気にとめておきたいと思います。