きれいごとでいこう!

経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。いい会社のいい話から私的なつぶやきまで、公私をつづります。

優しさをありがとうなのだ 赤塚不二夫さん宅で夢の4時間のお話

 

赤塚不二夫さんの追悼番組

「これでいいのだ!! 赤塚不二夫 伝説」(フジテレビ)を観ました。

 

やっと書きあげた漫画原稿を編集者が紛失してしまったとき、

赤塚さんは怒るどころか、

その編集者をなぐさめようと飲みに誘い、

ギャグを言って楽しませようとしてくれた、

という話には驚きました。

なんという人でしょう。

 

ありのままを丸ごと、ユーモアで包み込んでしまうあの名言、

「これでいいのだ」

この言葉を生んだ人ならではの、

優しい逸話だなと感慨深く思いました。

 

私、幸運なことに、

赤塚不二夫さんにお会いしたことがあるのです。

 

前職の『週刊ホテルレストラン』記者時代

1994年の話ですが、

4時間もご一緒させていただいたんです。

 

その時、赤塚不二夫さんの本に書いていただいたサイン。
家宝です。

 

ホテルやレストランなどに関して著名人の方々の声を

掲載するページを担当していた折、

赤塚不二夫さんのご自宅にインタビューに伺ったのでした。

 

普通は1~2時間のインタビューが、

このときはほぼ4時間。

めちゃめちゃ楽しくて面白くて、

取材も忘れて笑い転げた 夢のようなひとときでした。

 

もちろん、インタビューはまじめに答えてくださいました。

いいサービスにはいいチップが必要だとおっしゃって、

チップが必要な国では、誰にでも100ドルくらいチップを

あげちゃうんだよ、別にいいんだよ、って。

 

金額は驚きでしたが、

サービスを受けるお客側の態度も大事なんだよ

ってことを伝えてくれたんじゃないかと思っています。

 

ひととおりインタビューが終わると、その後は雑談に。

ちょっとここには書けないビデオも、

「見る?」と見せてくれまして、

これがもう、いま思い出しても笑える。ふふっ。

 

それはある記者会見のパロディーで、

赤塚さんと友達がその方々に扮して出演しているんです。

うふふふ。

 

このように、

人を楽しませることを自分の楽しみにされた方だったのですね。

多くの方が言われるように、

「初めて会った人にも旧知の仲のように接してくれる方」

というのは本当です。

 

4時間もお邪魔していると、

次から次へといろいろな方が来られるわけですが、

遠慮して帰ろうとすると、

「いなよ」、「全然構わないんだよ」と

引き止めてくださるのです。

 

大先生のご自宅に、

ぺーぺーの編集者がお邪魔している構図なのに、

あんまり居心地がよくて、

私ったら居続けてしまいました。

いよいよ帰るとき、

赤塚不二夫さんはあの笑顔でこんな言葉をくれました。

 

「またいつでも遊びにおいでよ」

 

あの日が最初で最後となりましたが、

いまでも鮮明に覚えている大切な楽しい思い出です。

 

赤塚不二夫さん、心から、ありがとうございました。

 

その後、出版社から2000年に独立し、
現在は経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子でした。