きれいごとでいこう!

経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。いい会社のいい話から私的なつぶやきまで、公私をつづります。

美容室で思う。技術が一流の人は、人格も一流


美容室へ行きまして「ザ・ショートカット」な短さになりました。 久しぶりにばっさり切って気分爽快です。

ただ、プロフィール写真とは別人のようになっており、 今月はこれから3回講演があるのですが、講演チラシの写真と 違う人が来たと、一瞬、思わせてしまうかもしれませぬ。

ま、そんな話はいいとして。
美容師さんのことを書きたかったのでした。
なかなか「この人」という方に出会えず、
美容室ボヘミアンだった私ですが、
2年前にお願いして以来、「この人」のお店に通っています。


きっかけは、その「技術力」でした。
技術力は、美容師さんの本質です。
いつも素敵な髪型をしている女性の友人に紹介してもらいました。
友人はベリーショート。男性でもいまどきここまで短い人はいません。
なのに女らしいスタイルで、もともときれいな彼女を引き立てています。
この美容師さん、ただものじゃないな。
常連客だけで予約が満杯になるところ、潜り込ませてもらいました。

なるほど、技術力はぴか一でした。
躊躇なく、ざくざく切っていく潔さも好みだし、
はさみの入れ方が的確だから、
家に帰ってからのブローが本当に楽。
日にちが経っても長持ちします。素晴らしい技術。

でも、違いました。
つまり、それだけの人じゃありせんでした。
確かな技術の上には、抜群の洞察力や気配りがあって、
それが圧倒的にこれまで出会った美容師さんを引き離していました。


たとえば、
私の椅子の背もたれにブランケットが挟まっているのを見て、
「もしかして腰が悪かったんですか」
と、聞きに来てくれたのですが、
その顔は“しまった”という表情。
「もっと早く気付いてあげればよかった」
と、思ってくれているようです。
たまたま、ひざ掛けを背中に当てていただけだったのですが、
予約でびっしり埋まっているはずなのに、ちゃんと「見ている」。


また、美容室はたいてい分業制で
パーマは別の人(若手)が担当しますが、
以前、少し強めにかかり過ぎたことがありました。
パーマ担当者は
私の濡れた髪を指で伸ばすけれど、くるくる、戻ります。
「強すぎちゃったな、どうしようかな、いいか」
と思っているのを感じます。
でも決断はしないで誤魔化そうとしています。

しかし 、私の担当者は、
私の髪を見るなり 「パーマ、軽く落としますね」。
即、意思決定。
1秒たりとも考えず、早かった。 わお。

これまでの美容師さんは、
内心、強すぎたかなと思っていても、
ブローでなんとか形にして、「またね」と送り出していたけれど、
この人は、ごまかさない。
直ちにシャワー台へ誘導し、少しの手間をかけ
お詫びとともに、ちょうどいいゆるさに直してくれました
技術力があるだけじゃないんです。


やっぱりそういうものなんだな。
その道に秀でている人は、
技術や知識など仕事の本質だけじゃない。
気配りや優しさ、コミュニケーション能力、プロ意識など、
なんというか、人間性も総じて高い。


痛くない注射針など、
技術力を誇る岡野工業の岡野社長もそう、
国民が認める演技力の高倉健さんや吉永小百合さんだってそう、
非凡な芸術家としていまなお注目される岡本太郎さんもそう。
その人間性も含めて愛されています。


小説や映画には、
腕は見事だが人間として最低というキャラクターが登場しますが、
現実にそういう人ってまずいないんじゃないでしょうか。
万が一、いたとしても、その腕はトップの域じゃないと思う。


技術や知識や演技といった仕事の本質は、
それを行なう人間の本質と密接につながっている。
当たり前だけれど改めて思ったのでした。


顧客満足の失敗学』は大学院の修士論文を基に ビジネス書に書き替えた本です。