きれいごとでいこう!

経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。いい会社のいい話から私的なつぶやきまで、公私をつづります。

なぜ中小企業診断士に?  28.法政大学専門職大学院の概略


こんにちは。
経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。

 

中小企業診断士になるまでをつづるシリーズ

全33回のうち、今回は28回目、

 

専門職大学院の概略をご紹介します。

 

1回にまとめたのでやや長いです。



◆「専門職大学院」は「大学院」と違うの?◆

 

2002年の改正学校教育法で生まれました。
ジャンルは、経営、会計、法律、ITなどがあります。
従来、日本の大学院は研究者の養成が主な役割でしたが
社会の多様化、国際的競争の激化が明らかになり
現場で実践的に活躍できる人を育てましょう
(→ 高度専門職業人 )
ということで誕生しました。



つまり、
大学院に2つの種類ができたのです。

 

研究をメインにするのが大学院
実践をメインにするのが専門職大学院



専門職大学院には民間企業で経験を積んだ教授が多く
学生も同様に社会経験を経て
再度、学習に来る人が多いのが特徴です。



◆2007~08年まで通った法政大学専門職大学院について◆

 

私はイノベーションシマネジメント専攻
イノベーションマネジメント科でした。

 

みんな「イノマネ」って呼んでいました。
経営学(MBA:経営学修士)を学ぶところです。



私たちは4期生ですが、
MBAと同時に中小企業診断士も取るコース
としては1期生です。



そのときの人数はこうでした。
・1年制 MBAコース(48単位以上)
    15人 (うち女性6人)

 

・1年制 MBA&診断士コース(58単位以上)
  14人 ( うち女性2人、うち一人が私)

 

・2年制 MBAコース(48単位以上)
 15人 (うち女性5人)

 

上記のように、コースは3種類ありますが
全員の机が同じ部屋にあり、
授業もかぶるので、全員顔見知りです。
(この部屋は研究室と呼ばれましたが、
イメージは職員室です。学生はここを拠点として
授業ごとにそれぞれ散らばっていきます)
 
 
一番多いのは30代男性でした。
年齢は23~67歳と幅広く、業界も多様。
女性は全体で30%。

 

何か授業でテーマが上がると
生徒の中に1人は専門家がいる感じ。
実践的で恵まれた環境でした。

 

先生方も 「やっぱり大学院の授業は楽しいね」と
おっしゃっていました。
 
留学生は全員アジアからで、
中国や台北から6人くらい来ていました。
うち男性は一人。
勉強しながらアルバイトしている人も多かったです。
私はMBA1年コースの中国の女性と仲良くなりました。

 
私が入った1年制のMBA&診断士コースは、
1年間で58単位を取るため、負荷がかなり多め。
会社を辞めて学業に専念する人がほとんどでした。

 

また、ほぼ毎日、顔を合わせるし、ご飯も食べるし、
授業のグループワークも一緒。
みな、あっという間に仲良くなりました。
いい人が多かったんです。



診断士を目指す人に限っていえば、
この学校の一番の魅力は、
診断士の2次と実習が大学院でクリアできること。

 

そしてMBAホルダー(MBAを持つ人をこんな風に言ったりします)
にもなれることだと思います。

 

ダブル取得できる大学院は、
2008年度の時点で法政大学(東京)と中京大学(名古屋)だけです。



法政では、MBA&診断士コースを「MBA特別プログラム」(M特)
と名付けています。いいプログラムです。

 

ただ、ほかのコースの人は特別じゃないの? と思ったので、
私は「特別」を避けて、「診断士コース」って呼んでいました。



校舎は東京の真ん中・市ヶ谷にあって、通学に便利。
建物もきれいで、1Fの馬蹄形の教室はかなり立派です。

 


2008年時点の話ですが、

1人1台パソコン貸与。
研究室には自分用のデスクとロッカー、冷蔵庫、プリンター4台。
学生用のラウンジやキッチンもあります。
IT室(演習室)もあります。
普通のオフィスにあるものはだいたい揃った施設です。




学部生(4年生大学の人たちのこと)のいる
市ヶ谷 ボワソナードタワーの施設(医務室や高層階ラウンジなど)や
古い校舎の図書館、生協、書店も使えます(時間がなくてほぼ使えず)

 

一口坂にあるイノマネの建物から
タワーまでは徒歩5分の距離です。



専門職大学院の学費はそれなりにします。
MBAは240万円。
MBA&診断士コースは診断実習費が加わって260万円。

 

奨学金制度に通れば数十万円いただけるようですが、全然足りません。
 
ここに来て分かったのは、
未来の高度専門職業人の多くはビンボーである、ということです。

 

つまり、一時的にビンボーになります。
2年制の人は、
夜間と土曜日をがんばれば、ほぼ単位が取れるので、
仕事を続けながら通えますが
1年制はそういうわけにいきません。



1年間で規定の単位を取るためには
昼間から授業に出ないと間に合いません。

 

とりわけ診断士コースは毎日、必修授業があり、
授業は昼がメインです。
なので、学業オンリーで収入ゼロの人がとても多い。



余談ですが、こうした人をターゲットに
彼らの知能が生かせる一時的な短時間アルバイトを
斡旋するビジネスモデルはいかがでしょうか。



ただ、中には会社から学費援助をもらって
毎日会社に顔を出し、
できるだけ仕事をしている頑張り屋さんもいましたし、

 

独立している人で、誰にも通学のことを言わずに
できるだけ普通に仕事を続けている
素晴らしい根性の人もいました。



私は周りにできるだけ公表して
執筆はレギュラーページのみ、
講演活動は月1回に留めました。



仕事を断るときに「それなら仕方ないですね」
と思ってもらえる理由を伝えたほうが
互いに気分がいいし、
次に繋がるかもしれないからです。



話を戻しますが、一時的にビンボーになります。
300万円近いお金がごそっと消えるうえ、
仕事を辞めたり、激減させるので収入面で厳しい。



普通に働いていたら得られたであろう
「機会損失」は相当な額に上るし
交通費、書籍代、雑費も発生します。



地方から来た人はプラス家賃、家具、食費、電話代。
さらには、やっぱり飲みにも行きたいから
そのお金もかかります。
家族のいる人はなおさら大変です。




機会損失まで全部合わせると、
マイナス1000万円は軽くいってしまう。
キャッシュフローではないとしても巨額です。

 

必ず、投資回収できるとも限りません。



なので、気軽に 「来たら?」 なんて言えませんが

 

4期の仲間で話すと
「本当に来てよかったよね」ということになるんです。




コマーシャルみたいですけれど
まさにプライスレス。
友情、資格、自信、知識、恩師、思い出、
キャリアアップ、年収アップ etc.
かけがいのない財産です(← 08年卒業生の主な状態です)




ちなみに後日談ですが、
私は1年ちょっとで学費を投資回収できました。
修士論文を大幅に加筆修正し、
3冊目のビジネス書『顧客満足の失敗学』として出したところ、

企業に勤める読者の方々がたくさん講演に呼んでくれたからです。

 

『顧客満足の失敗学』(瀬戸川礼子著、同友館刊)
 
「失敗学」というテーマが面白かったようです。
印税もいただくことができました。


卒業後に、ほっと息つく間もなく、
ビジネス書として書き直す日々が続き、
全然休めなくて心身、大変でしたが
本という形に残せて恩返しになり、よかったです。

 

続いては、

 

 

YouTube.png

 診断士試験に逆ギレ⁉  の動画はこちら。

 

YouTube【幸せに働き生きるヒント】
動画全体のラインナップはこちら。




『顧客満足の失敗学』こちら