きれいごとでいこう!

経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。いい会社のいい話から私的なつぶやきまで、公私をつづります。

船場吉兆の廃業に思う


経営再建を断念して、船場吉兆が廃業。 このニュースを受け、今週は多くの各テレビ局が改めて 「飲食店の料理使い回し」を取り上げていました。

モザイク映像で登場した一人の女性は、 「勤めていた居酒屋でもやっていた」と語ります。 食べ残しを捨てようとしたら 「捨てちゃダメ」、 飲み干されたお酒のビンも 「取っておいて」と、言われたと。

たとえば、食べ残しのチャーハンは炒め直して出し、 有名メーカーのお酒のビンは、中に安価な酒を入れ直して 出していたそうです。

その女性は言いました。 「最初は本当にびっくりしました。信じられないって。 でもそのうち慣れてしまったというか。。。 いつの間にか、それが普通の感覚になっていました」

一連のニュースを見て、私が最初に浮かぶ思いは、 よくもまあ、そんなことを平気でするものだ、です。

しかしその言葉を追うように、 高みの見物を決め込んでいいのか、と問いかけが始まります。

以前、友人から聞いたひとことが影響しているのでしょう。
食品偽造をしたミートホープ社の話題になったとき、 「私には分かる気がする」といった友人がいました。
しかも全国紙の記者です。
悪をあばく一面を持つ仕事でもあります。


でも友人は 「分かる気がする」と言いました。
「自分だって、そういう場にいれば染まってしまうかもしれない。 人って弱いところがある。それを自分自身で理解しておきたい」と。

この言葉を聞いたとき、なんてまっとうな考えなんだと思いました。
「理解できない」などと言っていた自分を恥ずかしく感じました。


自分は「しない」と言いたいし、「しない」と信じている。
けれど、対岸の火事で済ませてしまうのは危険だ。
自分の弱さを認め、弱いからこそ常に自問自答する。


「後ろめたいことをしていないか?」  

それが自分の誇りを守り、信頼を守る。

そんなことを彼女のひとことから教わった気がします。


飲食店という身近な場所で起こった事件だけに、
人ごとではない、という思いをより強く感じています。

経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子でした。